25 純粋無垢なんだが
あれから色々あったが、何とか夏休みを迎えることができた。
あの日から七海と有咲には散々な目に遭わされたが、何とか耐えることが出来……たと思う。
現在は家でゴロゴロしているんだが……
「何してんの?」
妹がスポーティーな格好をして何か体を動かしている。
何をしているのか気になったので尋ねてみる。
「ヨガです」
「何で?」
「別に太った訳ではありません!」
「誰もそんな事は言ってない!」
お腹を隠しながら恥ずかしそうにしている。
太ったのだろう。
なんとなくわかる。
「ま…頑張れよ…」
「その顔はやっぱり太ったと思ってます!」
「いや…オモッテナイヨ?」
「棒読みになってますよ」
わざとらしく笑っていると心を読まれてしまった。
コイツも心を読める側なのか。
家族内に心を読める人間が居るなんて、恐ろしいものだ。
そんな冗談はさて置き、暇なので一緒にやってみようか。
そう思い、有咲に頼んでみるとあっさり快諾してくれたので着替えてから有咲の元へ向かう。
正直ヨガの事はサッパリなので完全に有咲に教えてもらう事になる。
「じゃ、よろしく」
「はい、よろしくお願いします」
有咲に教えてもらいながらこなしていく。
様々なポーズをして段々とリラックスをする。
「これ、思ったよりしんどいな。でも、有咲は柔らかいから、あんまりしんどくなさそうだな」
「そうですか?まぁ体の柔らかさだけには自信がありますので」
そう言って思い切り開脚をする。
柔らかい事はよく分かったのだが、目線をどこにやれば良いのかわからないので目を逸らしておく。
そこで有咲も気付いたらしいく、脚を閉じで恥ずかしそうに顔を背ける。
こんな事もありながら、気持ちの良い汗を流す。
1時間ほどして終了し、シャワーを浴びに風呂場へ行く。
数分程シャワーを浴びた所で扉の向こう側に人の気配が。
十中八九有咲だったようで、一緒に入りたいとのこと。
(前にもあったな、こんなこと)
当然拒否する訳だが、それに構うことなく普通に入ってきた。
「失礼します、お兄さん」
「いや入ってくんなし」
入って来たのは前とは違いスクール水着を着用している有咲。
うーん、これはこれでなんかヤバい。何がとは言わないが。
有咲は水着を着ているので恥ずかしい素振りをあまり見せることなく堂々としている。
「今回は水着を着ていますので問題ないでしょう?」
「なわけあるか」
「そう…なのですね」
そこで急に頬を赤く染める。
(どうした?そんなに恥ずかしがる事なんてしてないのに)
急に恥ずかしがる有咲に疑問を抱く。
数秒経った後、有咲が口を開く。
「お兄さんはスクール水着の方が好きなのですね……別にいいのです……男子高校生なら当然だと聞いていますから……」
「………は⁉︎」
脳に雷が落ちてきた。
純粋無垢(?)の妹が突然言い出した衝撃的な言葉。
これには流石に驚いてしまう。
「ななななんだよ急に⁉︎誰に吹き込まれたんだそれ⁉︎」
「えっと…七海…さんから…」
「あいつ…」
多分「もしかしたら優くんもそっち側かもね」とか言ったのだろう。
というか、なぜそんな話題になったのか気になる。
普通に話してたらそんな会話はしない。
本当に恐ろしい、この人達。
とにかく、純粋無垢(?)の妹を返して欲しいので弁明しておく。
「まずそういう輩はいるかもしれないが、少なくとも俺はそうじゃない。だから七海の言葉は信用するな」
「そう…なのですね…」
とりあえず信じてくれたようでよかった。
「つまりお兄さんは裸の方が好み…という事なのですね…」
「………はい?」
恥ずかしそうな顔をして水着を脱ごうとしている。
胸が見えそうになるあたりで脳が処理を開始したので有咲を静止しにかかる。
「いやいやいや、なんでそうなる⁉︎というか脱ぐなーーー!!!」
いい加減、純粋無垢(?)な妹を返してくれ………。




