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24 特殊能力が怖すぎるんだが


「はぁ…はぁ…助けてくれ…」

「えーっと、何があった?」


息を荒げて迫ってきた(ゆう)に疑問げな顔を向ける柊太(しゅうた)


その横から実は近くで一部始終を見ていた泰明(やすあき)がドン引きの表情で眺めて来ているが、そんな事を気にしている場合ではない。


「と…とにかく…話を合わせてくれ…」

「あ…ああ…」


未だに現状を理解出来ていない様子だが、とりあえず了承してくれたので少し内心ホッとする。


が、そんな事を考えていられるのも束の間、笑顔で七海(ななみ)がこちらに迫って来ている。


「優くん?どうして逃げたの?」

「い…いや〜丁度走りたい気分だって…」

「そんなんだ。で、あの話はもうオッケーって事で良いんだよね?」

「それなんだが、ちょっと用事があってだな…」


そう言うと柊太を見てアイコンタクトをとる。


(なんか用事作って!)

(え⁉︎そんな急に言われても…)


会話をしていなくても考えている事が手に取るように分かる2人。

もう付き合っちゃえよ。


というのは置いておいて、柊太脳をフル回転させて何とか用事を作り出す。


「えーっと、実は優と一緒に生徒会の手伝いをする約束があって…」

「そ、そうなんだ!生徒会の手伝い!」

「ふーん、そうなんだ…なら仕方ないね…」


若干疑われているようだが、何とか凌ぐことができた。


「じゃあ、また今度ね」

「あ…ああ…また…時間があれば…ね?……そんな日は来させないけど」

「何か言った?」

「いや⁉︎なんでも⁉︎」

「そう。じゃあまた後でね」


小声で言っていたのを聞かれていないだろうか。

いや、聞かれていないにかけるしかない。


とりあえず、何とか難を逃れる事ができた。

立役者である柊太にお礼を言うと、事情説明を求められる。


流石に頼っておいて喋らないのもダメだと思い、素直に答える。


「その…実は今週の土曜日に1日中デートの約束をさせられそうで…」

「へ…へーそんなんだ。本当に仲が良いんだね…」

「いや…仲が良いなんてもんじゃないぞ。本当に。」


死んだ目で言葉を発している優。


それに柊太が何があったんだと思うが、聞かないでおく。


と、そこで柊太の隣で気配を消していた人間と思わしき生物が口を開く。


「お前さぁ…」

「あ、居たのか。害虫性クソ生ゴミくん」

「流石に言い過ぎじゃない?」

「そうか?黙って傍観決め込んでたやつなら当然の報いだと思うが」


泰明に強めのジト目を向けるが、それに動じた様子もなく、ただ反論を続ける。


「いや、その時は確かに悪かったかもしれんが…」

「が?」

「お前………羨ましいぞ!」

「………は?」


突然の告白に頭が理解できない。


それは柊太も同じようで、ポカンとした顔をしている。


「だってよ!めちゃくちゃ可愛くてスタイル良い桜庭(さくらば)さんにスッゲー好かれてるしさ!しかもあんなに可愛い妹まであるんだぜ⁉︎」

「あ、ああ…」

「羨ましくない男子なんていねぇよ⁉︎」

「はぁ…」


それも当然のはず。


学校一の美人2人に好かれまくっている優が、羨ましがられていない訳がない。


だが、案外すぐ側に羨ましがっていない人もいた。


「いや、別に羨ましいとは思わないけどね…」

「は?」

「優、本当に大変そうだし」


柊太が若干苦笑いで答えている。


実際、柊太の言葉は的を射ていて、優は毎日2人に振り回されてばかりいる。


柊太も経験があるのだろうか。


経験がなければ割と分かりにくい所なのだろうが、柊太はしっかり理解している。


だが、そんな意見に泰明が納得する筈もなく、まだ心の叫びが漏れ出る。


「大変な訳ねぇ!むしろあんな美少女に迷惑かけられるなら本望だろ⁉︎」

「……はい?」

「突然変態性癖を告白すんのやめてくれない?」


心の奥底の叫びまでしっかり漏れ出てしまっている。


まぁ実際そう思っている男子生徒も……いないかな。多分。


本当に、黙っていればそこそこモテるだろうに。

それぐらいのスペックはあるのに、この性格だから女子があまり寄ってこない。


そんな泰明のことをしっかりと可哀想な目で見ながら心の中でしっかり慰めておく。


(ドンマイ…)


「今、なんか余計な事考えてただろ」

「⁉︎」


なんか心を読まれてしまった。


バカな泰明の恐ろしい特殊能力を知ってしまった。


流石に怖すぎるのでついのけぞってしまう。


そうして驚いた表情をしているとそろそろ予鈴がなりそうになっていたので、3人は席に戻った。


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