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最終話 幼馴染が昔遊びでした告白を未だに引きずってくるのだが


家族と共に写真を撮った後、七海(ななみ)に校舎裏に呼び出され、(ゆう)は駆け足でそこに向かった。


「あ、きたきた」

「どうしたんだ?わざわざこんなところに呼び出して。告白でもすんのか?」


校舎裏に男女が2人きり。


この状況はまさに告白だろうと発言するが、そんなわけはないだろう。


そもそも付き合っているわけだし。


なので優は軽く流されるだろうと予想したまま七海を見つめるが、彼女は優しく微笑んで身体を前のめりにした。


「うん、好きだよ」

「っ…」


マジで告白してきた…のか?


最近はこういった発言をされることが多いのでこの程度で告白とかいってたら毎日告白されていることになる。


なので優は七海の発言に対して軽く微笑んだ後、本題を聞き出そうとした。


「んで、何か用か?」

「あ、そうだった」


そこで七海の表情は恐ろしくなっていき、優は思わず後退りそうになる。


「優くん???私という彼女がいながら何であんなに大勢の女の子とイチャイチャハーレムしてたのかなぁ???」

「っ__!!」


(コイツも有咲(ありさ)と同類かよっ!!!)


それは何となくわかっていたけれども、今回ばかりは違うだろうと侮っていた。


(うう…どうしたもんか…)


自分の過去の行動に後悔しつつ、この状況を打破するような言葉を考える。


「……」

「ねぇ??黙ってないで何か言って???」


この人、考える時間を与えない気だ。


もうこうなったら即興で思いついた言葉を言っていくしかないと思い、歯を食いしばった。


「あ、ああ。それに関してはごめん。最後だからって浮かれてた」


優は深々と頭を下げて七海に許しを乞う。


「でも俺が好きなのは七海だけだからあの女の子たちは眼中にない。それでも、ちょっとやり過ぎだったよな」

「ちょっと???」

「いや結構!!結構やりすぎました!!!」


焦りながら訂正をし、今よりもさらに深く頭を下げた。


「本当に申し訳ございませんでした。お詫びに切腹いたしますのでウチの婚約者だけはお許しをぉ」


と、少し冗談混じりに言うと七海は大きく笑った。


「あははっ、あはははっ。婚約者は私でしょ?なのにっ、矛盾してるよっ」


七海の笑い声が耳に入り、優は頭を上げて七海の表情を窺った。


「あ〜、やっぱり優くんは面白いねっ。こんなに優しくて面白い人が恋人だなんて、私幸せ者だよ」

「!!じゃ、じゃあさっきの話は…」

「それに関しては…まだちょっぴり怒ってるかな。せめて事前に言ってくれたらよかったんだけど」


七海の言葉が突き刺さり、優は心から反省する。


「ゔ…ごめん」

「まったくもう。私本当に浮気されたんじゃないかって不安になったんだからね?」

「そ、そうか…」

「それに1人や2人じゃなくて、何十人も同時にってなると…流石に私も耐えられなかったよ」


ん?その言葉の感じだとつまり…


「1人や2人ならいいの?」


といった解釈ができてしまう。


でもまあ、答えは分かりきっていて。


「いいわけないでしょ?」


(まあ、そっすよね)


妹と一緒にいるだけで浮気だといってくる彼女がそんなの許してくれるわけがないだろう。


と思っていたが、七海は小声で何かを囁いた。


「(で、でもどうしてもって言うなら許してあげちゃうかも…?優くんと一緒にいられるなら受け入れられるかも…)」


七海は小声で聞こえないように言っているつもりだろうが、優の耳にはギリ届いていた。


だがそれを言ってしまえば流石に可哀想なので黙ってスルーしておく。


「え、えと…何か欲しいものとかあるか?」

「ん?どうしたの急に」

「いややっぱ悪いことしたなって思ってさ。今後のためにもしっかり解決させておこうと思って」

「なるほど…」


七海は拳に顎を乗せてじっくり考え込んだ。


そして数秒後、何かを思いついたかのように顔を上げて口を開いた。


「じゃあ…優くんの言葉が欲しいな」

「…?どういうことだ?」

「だからその…『愛してる』って言ってくれない?」


七海の言葉を聞き思わず心臓がトクンと跳ねる。


やはりこの言葉には恐ろしい何かが宿っているのだろうか。


そんなことを考えていると、七海はまだ何かを思いついたかのように話し始めた。


「『結婚しよう』でもいいよ?ほら、昔みたいに」

「そ、それって…」

「うん!昔優くんが私に告白してくれた時みたいに!」

「……」


幼馴染が昔遊びでした告白を未だに引きずってくる…。


もうそろそろ心がもたなくなりそうだから辞めて欲しいなこれ。


でもまあ、これも七海のいいところか。


なら仕方なく、今回ばかりは言ってあげようか。


七海の欲しがっている言葉を。


優は1度深呼吸をした後、勇気を振り絞って口を開けた。


「愛してる」

「……そっちなんだ」

「まぁ、な」

「…今回は、それで許してあげるっ♡」


七海は勢いよく抱きついて来た。


これにて一件落着かな。


そして何とか結婚の話はせずに済んだ。


次にその話をする時は、遊びじゃなくて本気でしようと決めているから。


(んじゃ、あとは任せるわ。未来の俺)


優は未来の自分に全てを託し、今は愛しの婚約者をただ思い切り抱きしめた。


これまでご愛読くださった方、そしてたまたま目を通してくださった方、そして1話だけ読んで消えていった方。

本当にありがとうございました。

この作品によって自分は大きく前進できた気がします。

今思えばよくここまで毎日投稿が続いたなと思います(笑)。

そして長かった本作もいよいよ終わってしまいました。

一応続編を書く可能性が0%ではないので結婚後の生活はとってあります。

書くかはわかりませんがね。

まあそれは置いておいて。

私はこれからも頑張っていきたいと思っております。

もし機会がありましたら次回作などにも目を通していただけると幸いです。

今まで本当にありがとうござました。

それではまた、どこかで会いましょう!!

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