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212 人生終わったんだが


約1年後、3年2組。


もうすぐ卒業という時に、(ゆう)は教室で過去のことを思い出していた。


(色々、あったな)


窓の外を見ながら自分の目で高校生活を見返す。


(もう、終わってしまうのか)


記憶の再生が終わり、いよいよ現実に戻される。


そして正面の黒板を見ると、『卒業まで残り20日!!!』と大きく描かれていた。


それを見て、優は今1度自分の高校生活の終わりを実感した。


今日から普通に登校するのは終わり、家庭学習期間に入る。


いわゆる自由登校というやつだ。


自由登校とはいえど、ガチで登校する変態はそうはいない。


当然優も登校するつもりがなく、もう学校に来るのもせいぜい卒業式の練習と本番をしに来るぐらいだった。


もうほとんど別れともいえる教室を見回し、心の中で感謝を伝える。


「…お兄さん?もしかして、この教室に感謝でも伝えてました?」


ちょうど感謝を伝え終えた時に隣に有咲(ありさ)が来て、心の中を読まれてしまう。


「はは、何でわかるんだよ…」

「だってお兄さんの妹ですから」

「理由にはなってないかな」

「ふふ、そうですか?」


有咲はいつもの調子で笑うが、直後に悲しそうな表情で教室を見回した。


「もう終わってしまうのですね…」

「…そうだな」


兄弟揃って暗い顔になるが、心の中までは曇っていない。


「でもまあ、別れというのは次に進む為にあるものですからね。全てが悲しいわけじゃありませんよね」

「そうだな。みんな、新しい道に進んでいくんだ」

「それは、私達もですねっ」

「だな」


優と有咲は春から同じ大学に通うことになるだろう。


その大学はかなり難易度が高く、この学校の生徒でも上位数名しか行けないほどの大学だった。


当然先生には滅茶苦茶止められたが、有咲のゴリ押しによって何とか受験まで漕ぎ着けることができた。


そして受験することさえ出来れば、あとは持ち前の要領の良さでスイスイと。


自己採点では余裕で合格しているし、それは有咲もだ。


なので2人は合格発表もされていないのに合格していると確信し、同じ大学に通うつもりで色々準備していた。


「そういえば、お兄さんは春から七海(ななみ)さんと同棲するのですよね?」


準備というのは、大体がこのことである。


七海も同じ大学を受験し、同じように合格を確信している。


優は元々高校を出たら1人暮らしをするつもりであり、そして七海は現在1人暮らしだ。


正直、同棲を始めるタイミングとしては最適だった。


まあ優が同棲を決めた理由の大半は七海の安全な為にだが。


あれほどの美人が1人で暮らしているなど、危険しかない。


今までも相当我慢してきたが、いよいよ解放されるとなると優の気持ちは弾けて。


七海や自分の親、そして七海の親に直談判し、何とか同棲を勝ち取ったのだ。


だが当然隣にいる有咲はあまり喜んでいない様子で。


「何度も言いますけど、節度ある同棲生活を送ってくださいね?」

「わかってるって」

「声を出しすぎて大家さんに怒られたらなんかしたらダメですよ?」

「声の出し過ぎ…」

「お兄さん。狼になってはダメですよ?」

「いやそれは何⁉︎」


有咲の嫉妬が混ざった注意を耳に入れるが、半分ぐらいは何を言っているのかわからないのでツッコミを入れると、有咲は顔を赤くしながらボソボソと話し始めた。


「(だ、だってこの前…その…声が、少し聞こえてきましたから…)」

「…っ!!ま、マジか⁉︎」

「は、はい…」

「っっっ!!!!」


優は恥ずかしさのあまり額に手を当てて顔を下に向けた。


でも有咲は追い打ちをかけるように話を続けてくる。


「(気をつけてくださいね…?ね、寝れなくなってしまいますから…)」

「ゔっ…気をつけるよ…」


優は(もしかしたら親にもバレてる?)などというとんでもない憶測をしながら片手で顔を隠した。


「あ、このことはお父さんとお母さんも知ってますよ?」

「は?」


人生終了を感じた。


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