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206 身を委ねて


それはちょっとした思い付きだった。


でも、ここまでするつもりはなかった。


七海(ななみ)さん。僕と、結婚を前提に付き合ってください」


気づけば口が勝手にそう言っていた。


今すぐに取り消したいが、言ってしまったものはどうにもならず。


(ゆう)は次の一手をどう打つべきか考えていると、七海は恥ずかしそうに顔を隠しながら返事をくれた。


「は、はい…よろしくお願いします…」


七海は上目遣いでこちらを眺めてくる。


その可愛さに心を打たれ、優は大きく身体を後ろに倒した。


そこから数秒で身体の熱を排出し、一旦冷静になって考えた。


(ま、マジか…OK貰っちゃったよ…)


半ば投げやりかのように発せられた言葉に対し、七海は正直な気持ちを言ってくれた。


七海は待ち望んでいたとばかりの表情で喜びを表現し、結婚の約束をしてくれた。


(これ、現実か…?)


こんな都合のいい現実あっていいのだろうか?


もしかしたら、夢でも見ているのかもしれない。


そう思って優は頬を強めにつねってみる。


でも何も起こらず。


ただそこには明るい天井とヒリヒリと響く赤い頬が残っていた。


これで優も現実だと感じてしまい、少し諦めたように起き上がった。


そして目の前には頬を紅色に染めている愛しの彼女…もとい婚約者の姿が。


そしてその婚約者は一気に顔を近づけてきて吐息が感じられる程のところで1度静止した。


「け、結婚の約束もしたんだし…いい、よね…?」

「…ああ」


断る理由もなく、優は首を縦に振った。


直後、七海の唇が優の唇に触れた。


その柔らかく温かい感触を感じながら、優は幸せで満たされていく。


その気持ちは七海と唇を合わせる時間が経つにつれて大きくなり、やがて爆発してしまう。


「〜〜っ⁉︎」


優の両腕が七海の小さな身体を抱きしめ、もう離さないと言わんばかりの力で七海を拘束する。


先程まで握られていた主導権を握り返し、優は強く唇を押し付けた。


「〜〜〜っ⁉︎〜〜っ♡」


七海は塞がれている口で声を出そうとしたが、途中で諦めて身を委ねてきた。


そしてとうとう息ができなくなった時、優は唇を離した。


「ぷはぁっ…はぁ…はぁ…」

「はぁ…はぁ…もう…強引にしすぎだよっ…」

「ご、ごめん…つい抑えきれなくなって…」

「…いいよ…。我慢しなくて。優くんの好きって気持ち、もっとぶつけて…?」

「っ⁉︎」


そんなことを言われては流石にブレーキが効かなくなり。


優はもう1度強引に七海の唇を奪った。


そしてその勢いのまま布団の上に半ば押し倒すかのように七海を転がらせ、先程よりも深い口付けをする。


「〜〜♡」


七海は全く抵抗もせずに完全に身を委ねてきている。


そうとなっては応えなくてはならないと思い、優は何度も何度も唇を重ねた。


そしてまた息が苦しくなった頃に優は唇を離した。


「あ…え…」

「ごめん。流石にあんなこと言われたら我慢できなくなるって」


理解が追いついていない様子の七海に説明を施す。


そして一瞬で理解したらしい七海は目を逸らし、また1段階顔を赤くして小さく声を出した。


「…我慢、しなくていいから…もっと…」

「七海…そんなこと言われたら…っ!」

「うん、いいよ…。優くんの気持ち、私の身体にぶつけて…?」

「っ__⁉︎」


そんなことを言われては我慢できるはずがなく。


優はもう1度七海と唇を合わせた。


「もう…どうなっても知らないぞ?」

「うん。でも、責任、取ってくれるんだよね…?」

「…ああ。そう決めたからな」

「なら、大丈夫だよ。でも、初めてだから優しくしてね…?」

「…頑張る」


優はこの感情に身を委ねた。


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