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192 うますぎるんだが


「よし!弁当食うか!」


あれからも七海(ななみ)は若干暴走状態で、このままでは色々と耐え切れる自信がなく、流れを断ち切るべく少し声を大きくして提案をした。


「うんっ!そうしよ!」


七海は(ゆう)の提案に快く賛成し、早速大きめの弁当箱を取り出した。


「お〜でかいな」

「うん、優くんにたくさん食べてほしくて、張り切っちゃった♡」

「あ、そうですかぁ…」


にしても、これは大きすぎる気がするが…。


まぁ、気合いで全部食べるか。


せっかく作ってくれたんだし。


優はスイッチを入れ、いざ弁当とご対面。


蓋を開けると、そこには黄金の輝きが。


「な、何だこれはっ…!!」


その輝きに思わず目を隠し、弁当を直視できない。


「ふふっ、何してるの?」

「い、いや何でもないけど?」


七海に笑われて恥ずかしさを覚え、頑張って弁当の方を向いてみることにした。


そして優の目に映ったものは…


「な、なんじゃこりゃぁぁ!!」


そう、意味不明なまでに完成度の高い弁当だった。


もはや星をいくつかとっている店の弁当と言われた方が納得がいくぐらいに、とんでもない出来栄えだ。


「ど、どうやってこんなに…」


普通に考えて、1人で作ったとなると相当な時間がかかるはず。


それぐらいに、1つ1つが繊細で完璧な輝きを放っていた。


でも問題はどのようにして作ったのかだ。


先ほども言った通り、この量と完成度を作るには、少なくとも10人の人間が必要だろう。


優はその疑問を晴らすべく質問をするが、七海はあっさりと返答してきた。


「ん?それはもちろん…」

「もちろん…?」

「愛…だよ?」

「……は?」

「だーかーら、愛の力だよ」

「……………は?」


ちょっと理解が追いつかない。


まず、愛って何だ?


……それを考え出したらキリがないか。


でも一旦愛の力でこれを作ったとして。


……愛って何?


結局優の脳では理解することができず、ポケェっとした表情で思い切り首を傾げる。


流石に七海も優に理解されていないことがわかり、少し口を尖らせながら説明をする。


「つーまーり、私の優くんに対する愛の気持ちによってこのお弁当が完成したっていうことだよっ」


うーん、説明になってないな。


多分これ、具体的に説明できないやつだ。


ならもう愛の力ということで完結させておこうか。


優は理解することを諦めて弁当を楽しむことにした。


「まぁ何でもいいか。それより食べていいか?」

「どうぞ」

「じゃあ、いただきます」


割り箸を手に取り、早速料理に手を伸ばした。


「まずは…お、だし巻き卵あんじゃん」

「ふふふ、優くん昔から好きだよね」

「ああ、よく覚えてるな」

「優くんのことなら何でも覚えてるよっ」

「アッそうですか」


訊かなければよかった。


などと考えつつ、早速だし巻き卵を口に運んだ。


「っ⁉︎これはっ!!」


その圧倒的な味の深さに思わず目を見開く。


「どう?おいしい?」

「あ、ああ。滅茶苦茶うまいよ」

「ふふっ、ならよかった」


七海の料理センスに戸惑いつつも、優の箸は加速する。


「これもうまいな。あっ、これはなんか不思議な味付けだな…」

「お〜凄い勢い…」


七海は優の箸のスピードの速さに若干引きつつも、優の食欲を煽るような発言を繰り返す。


「優くんのためにたくさん作ったから、全部食べちゃってもいいよ?ほら、これとか美味しいよ?あ、こっちの肉も…」


優は七海に流されるがままに料理に手をつけ、腹が裂けそうになるまで料理を食ったとさ。


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