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175 ダルいんだが


(ヤバいやヤバいヤバいっ…!!)


あれから1時間程列に並んだ後、とうとう順番が回ってきて現在ちょうど乗り終えたところだ。


七海(ななみ)はルンルンで乗り込んで、今でも鼻歌を口ずさんでいるが、(ゆう)はそんな場合ではなかった。


(あんな角度でっ__いや無理無理無理!!!)


表面上こそ冷静だが、心の中では恐怖心が渦巻いていた。


七海はそんなこと知る由もなく、身体を軽く揺らしながら優に話しかける。


「楽しみだねっ」

「そ、そうだな…。七海は、怖くないのか…?」

「え?」


その質問に七海は笑顔で答えた。


「滅茶苦茶怖いよ?」

「えっ__」

「怖いに決まってるよ。私、こういうの昔から嫌苦手なの知ってるでしょ?」


そういえば、そうだったような…。


え、じゃあこの人苦手なのに普通に誘ってきたってこと?


え、怖いんだけど。


優の恐怖心の矛先はジェットコースターから七海に変わる。


「じゃ、じゃあ一旦今回はやめておこ__」

「あっ!始まるよ!」

「ってオイィィィィ⁉︎」


優の提案虚しく、ジェットコースターは発車した。


(マジで死ぬってぇぇ!!)


最初から一気に上昇し、そして急降下…っ!


(あ、全然怖くないわ)


「はぁ…はぁ…楽し…かったね…」


ジェットコースターから降り、2人は近くのベンチでしばし休憩していた。


「いやその表情じゃ無理あるだろ」


七海は明らかに疲れたような、そして目から光沢が消えた状態で息を荒くしている。


「優くんは…楽しかった…?」

「ん、まぁ…」

「そっかぁ…怖かったよね…」

「そっすね」


いや全然怖くなかったっすけどね。


もう少し自分がビビリだと思っていたけど、想像以上に肝が据わってしまっていた。


絶妙に嬉しくない。


もっと「ゔぁぁぁぁ!!!」とか叫びながら全力で楽しみたかった。


……まぁ、別の意味で楽しかったんだけど。


詳しくは語らないが、隣の七海が思い切り腕にしがみついてきて…。


これ以上は有料なので、とりあえず今は語れません。


そんなことは一旦置いておいて、優はできる男をアピールしようと考え、飲み物を買いに行った。


とりあえず水とジュースを買い、七海のあるベンチまで急ぎ足で戻った。


なぜ急いでいるのかって?


それは…


「暇なら俺らと一緒に遊ばない?」

「きっと楽しいヨォ????」


こうなるからである。


少し1人にしたらこうなってしまう。


ダルいって。普通に。


毎回毎回対処する身にもなってほしい。


(…行くかぁ…)


優は内心ダルそうに男たちと七海の間に立った。


「んだテメェ!!!」

「善人気取りかぁぁ⁉︎」

「えっっと…とりあえず落ち着いて?」

「うっせぇ!!俺はそこの嬢ちゃんに用があんだよ!!」


およそ遊びに来たとは思えないような雰囲気を漂わせる2人に威嚇されるが、優は全く臆することなく対抗する。


「そこの嬢ちゃんはお前らに用がないらしいけど」

「黙れクソガキ!!今から用を作るんだよ!!」


んーこれ、話が通じないタイプだ。


これだから低脳クソ脳筋野郎……これ以上はやめておこう。


今はとにかく、七海を危険から離すことが最優先だ。


「七海、下がってな」

「う、うん…」


正直1人で逃がしたいところだが、そうしたらまた同じようなことになる気がするので一旦少し離れたところに待機させておく。


そうすると男達も急激に距離を詰めてきて…


「おい、近づくなよ」

「は?だからお前に用はねぇって」

「さっさとどけや!!」


1人の男が拳を思い切り顔面にぶち込んできた。


優はわざとそれを受け、そのまま地面に倒れ込んだ。


「ゆ、優くん…⁉︎」

「はっ、俺らに歯向からだ」

「早く逃げた方がいいんじゃなぁい??」

「くっ…あなたたち…っ!!!」


七海が怒りをあらわにし、応戦するべく立ち上がった。


「まて、七海」


その時、優も立ち上がって七海を止めるように手を出した。


「優くん…⁉︎大丈夫なの…?」

「ああ、なんとか」

「お、じゃあ第2ラウンドといくかぁぁ!!」


男達は一斉に優に殴りかかった。


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