151 伝わってなさすぎるんだが
現在謎に自分の恋愛観について両親に語っているのだが、丁度1つの話題が終了した頃に優希が立ち上がってキッチンにお茶を淹れに行った。
え、まだまだ話すつもりなんですか?
もうこの話も終盤かなと思った頃にお茶を用意されては全然終わらせることができないではないか。
(父さんめ…)
優は心の中で父を呪いながら母と話をする。
「ねぇ母さん」
「なに〜?」
「母さんから見て、その…俺の恋はうまくいくと思うか…?」
それは、今最も優が悩んでいる内容だ。
これに関しては恋愛経験豊富であり、女性側の気持ちの分かる奈々に相談しておきたかった。
奈々は優の発言を聞いた後、クスクスと笑ってくる。
「ふふふ…そんなの訊く必要ある?」
「えっ」
一瞬で血の気が引く。
奈々の発言は捉え方によっては訊くまでもなくうまくいかないと捉えることもできるからだ。
優は寒気がしてきて身体を縮めるが、奈々は優の思考に気づくことなく話し続ける。
「七海ちゃんはどう見てもあなたのことが好きだと思うわよ?」
「えっ…」
一瞬で身体が熱くなる。
先程までの考えなど完全に吹き飛び、七海もこちらのことが好きという言葉に胸が高揚する。
だがまだ確信するのは早い。
しっかり理由を知っておきたい。
「なんでそう思うんだ?」
そう訊くと奈々は微笑ましいものを見るまでこちらを見つめてきた。
「七海ちゃんの目が、ね?」
「どういうことだ?」
「あの目は好きな人を見る目よ」
「そうなのか?全然気づかなかった…」
「結構わかりやすかったけどね〜。あ、でもそれ以外にもいろいろあるわよ?優のことが好きだってわかる行動」
「え…」
(もしかして俺って鈍感なのか…?)
大⭐︎正⭐︎解⭐︎
君、間違いなく超鈍感だよ?
恐らく経験不足からくる鈍さなのだろうが、それにしても酷すぎる。
あれだけアタックされても気づかないなんて。
だが今の奈々の発言でようやく少しだけ気づいたので、それっぽいことを訊いてみる。
「えと…毎朝家まで迎えに来て一緒に登校しようとするのって…」
「うん、好きじゃないとなかなかしないわね〜」
「じゃあ毎週のようにデートに誘ってくるのは…?」
「好きじゃないとしないわね。というか、そんなことになってたの?」
奈々もそこまでは知らなかったので、驚いた様子で訊き返してくる。
だが優はそれに反応する余裕がなく、そのまま話し続ける。
「じゃあその…昔遊びでした告白を未だに引きずってくるのって…」
「…え…?どういうこと…?」
ポカンとした様子の奈々に、具体的に説明する。
過去のおままごとの話から今現在の状況についてなど。
全てを話し終えた頃、奈々は一周回ってドン引きの目を向けてくる。
「あなたそれ…どう考えても七海ちゃんは優のこと好きよ…。ええ、間違いないわ…」
「そう、なのか…?」
「いやだって…好きでもない人に昔の告白を持ち出してまでくっつきに行こうと思う?」
「思わないな…」
「でしょう?」
全然気づけなかった。
まさか、こんなにもわかりやすい女の子だったなんて。
途端に全身が熱くなり、頭の回転速度が上昇する。
(え?じゃあ七海は再開したあの時から俺のことを…?)
いや、それよりも前なのか…?
どちらにしろ、今考えるだけでは分からないことだ。
諦めてまた別のことを考えようとした時に、部屋の扉が開かれてお茶をお盆に載せた優希が入ってきた。
「……何かあった?」
先程とは全く違う空気感に違和感を感じたらしい優希がそう言ってきたので奈々が説明しようとするが、そうはさせない。
口を開いた直後に奈々の両肩に手を置き、アイコンタクトを送る。
そして意味を理解したかのように奈々もアイコンタクトを返してきたので優は少し離れた。
奈々は真剣な表情を作り、優希に説明し始める。
「実は…七海ちゃんのお腹に赤ちゃんがいて…」
「マジか…」
「いやどんな解釈したんだよぉぉぉ!!!!」
アイコンタクトは全然伝わっておらず、優希の誤解を解くのには30分かかったとさ。




