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143 どうすればいいの⁉︎


「あ、璃々(りり)ちゃんもうちょっとゆっくりね」

「おっけー」

「あのー、ここはもう少し温めた方が良いでしょうか?」

「うーん、そうだね…。うん、あと少しだけ温めてみようか」


3人は買い物を終え、七海(ななみ)の家で早速調理を開始していた。


あの後有咲(ありさ)も2人と共に戦いに挑むことになり、今現在七海の指導のもと奮闘している。


指導といっても有咲は普段から親の手伝いなどで料理に触れているため、どちらかと言えば相談と言う方が近いかもしれない。


問題は料理経験が浅い璃々にあった。


単純に経験が浅いだけならまだ良かったのだが、璃々には料理のセンスを感じられなかった。


気づけばチョコを焦がしているし、うまく型取りができなかったり。


一度だけたまたま上手くできたと思えば味が壊滅的になっていたり。


もはやどうやっているのか訊きたくなってしまうぐらいには、璃々に料理の才能が無かった。


それには当然指導者の七海も手を焼いている。


「あっ⁉︎また焦がしちゃったぁ…」

「嘘…さっきまでちゃんと見てたのに…」


本当に一瞬、目を離した隙にチョコを焦がされ、七海はどうしたら良いか分からなくなる。


いや、もうここまで来たらセンスとかそういう話じゃない気がする。


何と言うか、何かに取り憑かれている気がする。


多分、悪い何かに。


(私はどうすればいいのぉぉぉっ!!)


現実的な原因は究明できず、いよいよ人間が解決できる領域ではなくなってきた気がした。


そこでもういっそ有咲に意見を求めようと思い、別室に呼び出して話をする。


「璃々ちゃんはどうすれば上手くできると思う…?」

「そうですね…一瞬でも目を離せば失敗してしまうんですよね?でも、それは現実的に難しい…と」

「うん。瞬きすら許されないの」

「うーん…それなら…とりあえず、2人で璃々さんのことを監視してみましょう。それでうまくいかなければ…神様に頼むしかありませんね…」

「うん…そうだね…」


最終的には神頼みしかなくなってしまうのかという絶望的な状況に、七海は違和感を覚える。


(…これ、ただバレンタインのチョコを作ってるだけだよね…?神様に頼むしかなくなるって…何?)


普通に料理していたら絶対に出てくることのない単語に理解不能の意を示すが、それにツッコんでくれる人はおらず、複雑な胸中のまま璃々の隣に立った。


「……あのー2人とも?」

「ん?どうしたの?」

「そんなに見られるとやりにくいんだけど…」

「いえ、こちらのことは気にせず料理に集中してください」

「いや、そんなこと言われても…」


2人から自分の手元を凝視されているので、流石に集中できないようだ。


だが料理を始めてもらわないことには何も始まらないので、七海は早く始めるように促した。


「じゃあ、始めるね?」


璃々は釈然としないまま料理を始める。


その瞬間、七海と有咲の視線の威力が増し、璃々の困惑は強くなっていく。


そして璃々は手順を忘れ、またしても失敗しそうになる。


「あっ!璃々ちゃんそうじゃなくて__」


すぐに七海がたまに入り、何とか失敗はせずに済んだが、まだまだ油断できない状況が続く。


璃々は未だに緊張しており、またしてもレシピが飛びそうになる。


「あ、そこはですね__」


そこで有咲が起点を効かせ、璃々に手取り足取り教えてあげる。


こんなグダグダで本当に大丈夫なのだろうか。


七海は柊太(しゅうた)に心の中で頭を下げ、何とか

美味しいチョコを作れるようにさせることを誓った。


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