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128 使い道を見つけたいんだが


「もう少しですね」

「あぁ〜今年もいい1年だったわね〜」


本日は12月31日。


現在時刻は23時55分。


如月(きさらぎ)家は全員テレビの前で今年の出来事を思い返している。


(ゆう)も目を瞑って今年の事を思い出す。


(今年は高校に入学して、七海(ななみ)と再開して、そして…)


考えれば考えるほど、七海との思い出がたくさん浮かんでくる。


(色々あったな、ホント)


今まで生きてきて、1番濃い1年だったかもしれない。


来年はそれ以上であることを、心から祈る。


ここで目を開くと、丁度有咲(ありさ)が隣に来ていた。


「ふふ…今年はとても楽しかったですねっ」

「ああ」


有咲は小さく笑いながら話してくる。


「来年はどんな1年になりますかねー」

「そうだな〜。ま、楽しくなりそうではあるな」

「そうですね!」


有咲は嬉しそうに笑い、先程よりも距離を縮めて来る。


そんなこんなしていると、もうすぐ年が変わるそうで、テレビでカウントダウンが始まっている。


「いよいよですね」

「ごー!よーん!さーん!にー!いち!」

「「ハッピーニューイヤー!!!」」


元気の良い女性陣の掛け声で、新年が迎えられる。


「あけましておめでとうございます!」

「おめでと〜!」

「おめでとう。今年もよろしく」

「ああ、よろしく。みんな」


そう言ってまずは家族内で挨拶。


その直後、全員がスマホを持ち始めた。


理由は簡単で、新年の挨拶を様々な人にするためだ。


現にみんなのスマホからは通知が多く聞こえてくる。


優のスマホからも通知が鳴っており、1つづつ返信していく。

『あけましておめでとう!!今年もよろしくね!!』


七海からも元気の良い連絡が届いていて、少しクスッと笑った後に文字を打ち込む。


『あけましておめでとう。今年もよろしく』


普通ならこの辺で終わらせてもいいのだが、優は続けて七海の今について訊いてみる。


『今は何してんの?』

『テレビの前でゴロゴロしてるよー笑』

『そっちは結構寒いのか?』

『そうだよー。私こたつがないと生きていけないよー』


七海は現在実家に帰省しているため、こちらよりも寒い場所で過ごしている。


そんな七海からの変なメッセージに、つい笑みが溢れる。


「お兄さん、どうかしました?」


兄の突然の笑みに何かを感じたのか、有咲が近づいていきてスマホの画面を覗いてくる。


「ふふ…七海さん元気そうですね」

「だな」


特にやましい会話もしていないので平然と有咲にトーク画面を見せる。


有咲は七海の変なメッセージを見て笑った後、自分のスマホの通知音によって視線を戻される。


それから10分ぐらい返信などをした頃に全員スマホから視線が離れ、ようやく一息ついた時に優希(ゆうき)が立ち上がって物置の中から何かを取り出している。


「はいこれ。お父さんとお母さんから」

「!!」

「大事に使うのよ〜」

「ありがとう」

「ありがとうございますっ!」


優希の手から差し出されたお年玉を受け取り、優は2人に感謝を伝える。


有咲はとても嬉しそうに喜んだ後、何に使うかを考えている。


「ん〜……」

「何で悩んでるの〜?」

「服か、バッグか、コスメか…うぅ…悩ましいです…」


まさに女の子らしいラインナップだなと思いながら、自分も使い道を考える。


(……やっぱり今年も何も思いつかない…)


毎年何か大きな買い物をしようと考えるのだが、結局何着か服を買うぐらいで大半が貯金に回ってしまう。


別にそれが苦というわけではないが、何となく寂しい気がしていた。


なので今年こそはと気合を入れて考える。


(あのブランドの靴…いやあれは高すぎて逆にはけなさそうだし…じゃああのゲーム機は…って絶対にやらなくなる…ここはあえて親に何かプレゼントでも…って親から貰ったお年玉で親にプレゼントって意味不明だな)


頭を回してジッと考えるも、やはりパッとしたものが思いつかない。


(………貯金するか)


10分にも及ぶ熟考の末、結局諦めて将来のために貯金することにした。


優はこれが1番確実で1番良い使い方なのだと、心の中で信じきっていたから。


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