126 説明を求めたいんだが
「今日はありがとうございました」
「うん。またご飯一緒に行こうな。メリークリスマス。あ、あと、良いお年を」
「はい。メリークリスマスです。それと、みなさん良いお年を。では、さようなら」
そう言って七海は手を振りながら如月家のみんなと別れ、余韻に浸りながら部屋に帰っていく。
帰ってすぐに風呂に入り、パジャマを着た後スマホを持ってベッドに寝転んだ。
そして七海はあの人物と連絡をとってみる。
『璃々ちゃん!今日のアレはどういうこと⁉︎私は電話での説明を求めます!!!』
今日の出来事に対して説明を求める。
璃々はじっくり考えているのか、なかなか返信が来ない。
結局返信が来たのは数分後だった。
『いいよ』と短く返信してきたので、七海は早速電話をかける。
「璃々ちゃん。説明してもらおうか」
【…はい】
七海にはわかった。
璃々は今、照れて顔が赤くなっている事が。
そんな璃々をからかうような口ぶりでさらに追い討ちをかける。
「今日一条くんと何してたの?もしかしてデート⁉︎」
【い、いや…まぁ…うん…】
「キャー!璃々ちゃんも乙女だねー!!!」
柊太とデートしていたことを肯定し、七海は嬉しそうな反応をしてみせる。
「で!どっちから誘ったの!」
【それは…柊太くんから…】
「えっ⁉︎名前呼び⁉︎もしかしてもう付き合ってるの⁉︎」
【………………うん…】
「え、えぇぇぇぇぇ⁉︎」
少しの沈黙の後に小さく放たれた璃々の言葉に流石に驚いてしまう。
「えっいつ告白されたの⁉︎」
【えっと…さっき…かな…。そろそろ帰ろうって話をしてた時に…】
「どんな感じで⁉︎」
【普通に…好きですって…】
「キャー!!ロマンチックだねー!」
今までそういった話を聞いたことがない璃々の恋バナについテンションが高くなってしまう。
璃々を心から祝福し、自分の事のように喜ぶ。
だが、正直100%喜べている自信がない。
それがなぜかは、簡単な話だ。
「でもいいなぁ〜。私も優くんと恋人になりたいな〜」
そう、自分には恋人がいないとこに劣等感を抱いていたのだ。
だからハッキリ言ってズルいのだ。
これから幸せになる未来がある璃々が、羨ましくて仕方ない。
そういった感情が渦巻いていると、璃々から応援の声が届いてきた。
【七海ちゃんならきっとなれるよ!私なんかよりずっと魅力的なだもの!】
「そう、かな…」
【そうだよ!私でも恋人ができたんだから、きっと大丈夫!】
「そうかな…ふふ…ありがとね。ちょっと自信湧いてきたかも。よし!絶対に優くんを落とすぞー!!!」
【おー!!!】
2人とも拳を掲げて一致団結したところでこの話は終わるかと思っていたが、全然そんなことはなく、この後も七海から散々吐かされた璃々だった。
◇
同時刻、優も柊太に説明を求めるべく電話をかけていた。
「で、結局告白したのか?」
【まぁ…したけど…】
「マジか…。うまくいったのか?」
【うん…何とか…】
「おーよかったじゃねぇか。おめでとう」
心から柊太のことを祝福し、そしてからかっておく。
「そんな気配全然なかったのによぉ。お前も隅に置けねぇやつだな。で、どこが好きになったんだ?」
【それはまぁ…】
「全部、だろ?」
【…うん】
やっぱり柊太はそういうやつだった。
好きなものはとことん好きになるタイプで、多分璃々のことは相当大切にするだろう。
友達である優にはそれらの事が手に取るようにわかり、安心感を覚える。
だがやはり気に食わないところもある。
「で、何で俺に相談してくれなかったんだ?」
なぜ友達なのに相談してくれなかったのか。
柊太とはただの友達ではなく、親友と言っても過言ではないぐらい親しい関係のつもりだ。
なのに相談もされないなんて、ちょっと心にきちゃう。
なので柊太を問いただしておく。
【えっと…これが恋心かなんて分からなくて…告白だって、気づけばしていたって感じで…】
「ほぉん…」
あ、この人、結構経験ないタイプか。
優も全然経験がないが、そんな優から見ても明らかに恋愛について理解していないことが分かってしまった。
流石にそんな柊太を放っておけばフラれる可能性があるので、ここではしっかりとアドバイスをしておく。
「ま、とにかくあんまり暴走しすぎんなよ。分からないことがあったらすぐに相談してくれよ」
【うん、ありがとう。やっぱり恋人がいる人はちがうね】
「…はい?」
【あれ、違ったかな。まだ桜庭さんと付き合ってないの?】
「なんだよそれ…」
(俺は七海のことが好きで、いずれは付き合うのが決まっているみたいな言い方しやがって…)
柊太の発言に顔が赤くなっているが、今は電話だからバレないのでセーフ。
とりあえず今は、適当に誤魔化しておこう。
事実かも、しれないから。




