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104 アドバイスはいらないんだが


部屋で少し話した後に有咲(ありさ)に風呂に誘われて七海(ななみ)は部屋を出て行った。


自室には自分しかいない状況になり、ホッと一息ついていた時に、ドアからノックの音が聞こえてくる。


(ゆう)?いまいいか?」


ドアの向こうには優希(ゆうき)がいるようだ。


何か話がありそうなのでとりあえず部屋に入れておく。


「で、何か用か?」

「ああ、1つだけ訊きたいことがあってな」


優希の表情は真剣そのものなので、こちらも少し身構える。


少し間を置いてから優希が話し始める。


「優…七海ちゃんのことをどう思ってるんだ?」

「…えっと…はい?」


優希に質問されるが、突然の事すぎて内容が理解できない。


そのことを察して、優希が分かりやすく説明してくれる。


「だから、七海ちゃんのことを好きなのかって」

「…は⁉︎なんだよ急に⁉︎」


ようやく理解するが、質問の意図は未だに理解出来ない。


「まぁ一緒の部屋で寝るのは初めてだろ?だから一応確認」

「何の確認だよ…」

「何って…好きなんだったら色々あるからな。アドバイスしてやろうかなって」

「そんなのいらねぇよ。そこはなんとかするし」

「好きのは否定しないんだな」

「…」


結構痛いところを突かれてつい口が止まってしまう。


その一瞬の沈黙で優希は察したらしく、さっきまで真剣だった顔をニヤニヤとした表情に変えて近くに寄ってくる。


「ふーん。ま、いいんじゃないか?七海ちゃん滅茶苦茶可愛いし優しいからな。親としてはこれ以上の相手はいないって感じかな」


優希は得意げな表情をしてさらに語り続ける。


「七海ちゃんは優のこと好きっぽいし、もう告白してもいいんじゃないか?そのまま勢いで…ってのもありじゃないか?あ、ゴムは付けろよ?ないならやろうか?」

「いらねぇよ⁉︎何だよ急に⁉︎」


親からの突然の下ネタについツッコんでしまう。


 

まぁ仕方ないだろう。


親からそういう話されるのって結構きつい。


心にダメージを負ってしまったので逃げ込みを謀るが、しっかり止められてしまう。


「まあ座れよ。先輩が相談に乗ってやるからさ」


正直座りたくないのだが、半ば強制的に座らさせられる。


「で、何かあるか?」

「うーん、そうだな…」


もうこうなったら何か言うしかないのでとりあえず適当に訊いてみる。


「距離感がよく分からないというか…。七海が結構距離感近くてさ、色々困っているというか」

「ああ〜…分かるなぁ…」


目を瞑ってうんうんと頷いているのを見て普段の奈々(なな)の様子を思い出す。


あの感じだと、多分付き合ってなかった頃からグイグイ来ていたのだろう。


優希もそれに心を揺さぶられていたのだろう。


そんな感じのリアクションをしている。


優希は自分の経験をもとに少し考えた後、アドバイスをくれる。


「でもそれって七海ちゃんなりの愛情表現だろうからなぁ…。無理にやめさせるのはよくないな」

「じゃあどうすれば…?」

「お前が適応するしかない」

「マジか…。父さんは出来たのか?」

「黙秘する」

「出来てねぇんじゃねぇか!!」


そっぽ向いて知らん振りをする優希を見てすぐに察してツッコミを入れる。


その直後対抗するように自分の言い訳を主張する。


「仕方ないだろ?好きな人相手にあんな距離感で来られたらドキドキしないわけがない」

「人にアドバイスしておいて自分できてないんかい…」


明後日の方向を見てすっとぼける優希にジト目を向ける。


それに気づかないふりをしながら優希が適当に話を戻す。


「まぁ好きなら何事も受け入れてやれ。そうすればきっとうまくいくさ」

「…」


今更何を言われてもあまり心に響かない。


そんな気持ちを打ち明ける事はなく、少しの間親子の時間を過ごした。


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