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戦い

作者: 神保康弘

 代表作も含めて三度5歳歳上の兄と兄友人と私の話です。




 私が中学卒業後、隣町のゲームセンターにてゲーム大会があった。1998年の5月頃である。「リアルバウト餓狼伝説2」というSNKの人気作品で、私はネオジオCDというゲーム機でこれらのシリーズを遊んでいたためゲーム大会に出たくなって、兄友人に大会に出るぞと言ってしまった。そして当日、呼んだ覚えもないのに兄と兄友人もゲームセンターの大会見学に来てしまった。


 だがこのゲーム、好きな人が周りにおらず、もっぱら家でコンピュータとばかり戦って、ゲーム雑誌のみが情報源だったためにはっきり言って練習不足、情報不足だった。大会優勝なんてことも口には出さなかった。



 当時は中学卒業直後で町工場で働いていて、兄と兄友人は二十歳過ぎなのに無職だった。2人は基本的に怠惰で仕事が長続きしない人達なんだけど色々と辛い目にもあってしまったりして元気が無さそうであった。


 大会当日、16人くらいが参加してクジ引きしたが、なんとエントリーナンバー1が私で対戦相手が同じ中学の先輩であった。同じ中学校で一学年下の仲のよかった剣道部の後輩二人もいて一人参加していた。


 エントリーナンバー1が自分。

 エントリーナンバー2が先輩。

 エントリーナンバー4が仲のよかった剣道部の後輩という知人ばかりのトーナメントになってしまった。


 だから1回戦第1試合が先輩後輩対決、2回戦第1試合も結果次第で先輩後輩対決、後輩が負けたら後輩の仇討ち戦になるという作ったような展開。しかも後ろで兄達が見守っている。私は無駄なプレッシャーが両肩に重くのしかかってくるのを感じた。



 おまけに試合前にその先輩が近寄ってきて「お前には絶対勝つからな!」などと余計なことを言ってきた。その先輩は勉強もスポーツもかなり出来る人、とだけ書いておく。はっきり言って私なんかと道が交わる人じゃないはずなんだが、私に勝ってもそんなに自慢にならないし、負けたら負けたで恥ずかしいだろうし何でそんなに闘争心を燃やしていたんだろうか?



 私は宣戦布告してきた先輩にはあまり集中せず、後ろにいる兄が近寄って先輩に突っ掛かったりしないだろうかと逆に先輩の方を心配してしまった。5歳歳上の兄は歳下には強い態度に出る人だった。流石に二十歳過ぎだからそんなゲームセンターから締め出されるような馬鹿な真似はしないか(笑)



 大会本番、私の試合が始まった。でもここらへんは全然覚えていない。兄達の視線が無駄なプレッシャーになって操作に力が入らず、イマイチ集中できずに相当苦戦した気がするが、なんとか勝利することができた。自分の実力が100だとするとプレッシャーで90くらいの実力しか出せなかったが相手の実力が85くらい、という所か。試合前に私に絡んできた先輩も試合後は何も無かった。私はあまり喜びとかは無くただただホッとした。まあ、なんとなく相当苦戦はするだろうが勝てそうな気はしていた。




 まだまだ大会は終わってはいない。第2試合、残念ながら仲のよかった後輩は負けてしまった。ということは後輩を倒した相手と戦い仇討ちをしなくてはいけなくなる。前回とは質の違うプレッシャーが重くのしかかってくる。胃がキリキリ痛みそうな気がして本当辛かった。おかしい。ゲーム大会を楽しむために来たはずなんだが。



 2回戦、私の試合はあっさり負け。私の大会は終わってしまった。この対戦相手も準決勝で負けたはず。なんとなく戦う前から負けるような気はしていた。というかトーナメントがこんな展開になるとわかっていたらもう5倍くらい練習しまくって大会に挑んだんだけどなあ。なんとしても仇討ちをしたかった。


 最近までなんで兄達は好きでもないゲームの大会にノコノコ付いて来て無駄にプレッシャー与えたんだろうかと不思議でしょうがなかったが、2人は自分に何かを期待してたんじゃないか、大会に優勝はしないまでも何か一太刀浴びせるような、ギャラリーをわっと湧かせるような活躍を期待したのかなぁと最近は思う。


 この大会の約3年後、半年くらい前にも書いたがCAPCOM VS SNKと、CAPCOM VS SNK2というゲームが稼働し、私は県内のゲームセンターで戦いまくり約2時間もこのゲームセンターで大会優勝レベルの強者と死闘する羽目になる。だからまあ実質優勝だな! 












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