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迷子の無双ちゃん ふわふわ紀行 ~予言と恋とバトルの100日聖女は田舎の町娘の就職先~  作者: 相川原 洵
第六話 王都騒動

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86 太陽の塔 3


[よく来たなぁ、アイシャ。グズグズしてないで入ってこい。」


 王都の名所“太陽の塔(ファール・ザフル)”の観光にやってきたアイシャに向けて、不意打ち気味に浴びせられた武神の声。

 今回は、武神の声が周囲の参詣者にも届いているようで、動揺する様子もなく、ずかずか堂々と歩いていくアイシャは四方から驚愕の視線を注がれていた。


「え、マジ? どうなってるのかしらコレ?」


 シーリンは既に、いち早くスカーフをぐるぐる巻きにしてマスクにしている。さすがの素早い判断だが、怪しさはとんでもない。実際に怪しい人間であるヤクタはしれっとした顔で、「アイシャ、周りの人からよく見えるように肩車してやろう」とかがみ込む。もちろん、断固拒否。


「これ以上目立たないうちに、行こう。」

「行きましょう。」


 そういうことになって、小走りで塔の中へ駆け込む。


――――――――――――――――――――――


 風景を楽しむ余裕もほとんど無いまま、開いた門の中へ飛び込む。本気で走ったら、武神流スピードで怪しさが増してしまうから、あえて女の子走り1.2倍速だったけど、変じゃなかったかしら。

 わたしとしては、あくまでここには遊びに来ただけで、神秘方面はゲンコツちゃんに押し付けるつもりだった。ので、あそこで武神様がシーリンちゃんの名を出さないでくれたのはありがたかった。でも、こういうのは困るから、しないでほしい。

 で? どうしたらいいの?


 “塔”の中、1階玄関は天井の高い広間になっていて、中央奥には牛神様の大きな像が鎮座ましまして、異様な雰囲気を放っている。その手前、部屋の中心には地下への階段が大きく口を開けていて、神気はその下から漏れているみたい。せっかく塔なのに、地下に潜るの?


 わたしたちのいる玄関ホールのスペースと、ここから正面の地下階段への通路は部屋の中でも一段高くなっていて、少し低い、客席みたいなスペースには十数人の女の人たちが、驚きとか、不審とか、もの珍しさ、値踏み、あるいは信仰の視線をこちらに送っている。

 あの人たちって、ウワサの聖女様? シーリンちゃんの袖を引いて、小声で聞いてみよう。


「奥の、ピカピカの御三方が聖女様ね。ほかは、そのお付きの方々とかだと思うわ。」

「え、あの人たち、おばちゃんだよね。」

「もう長いこと後任ができてないみたいね。アイちゃん、スカウトされるんじゃない?」

「ええー、こんな所に住みたくないよ。」


 キラキラしていて尊敬されてチヤホヤされるとしても、塔の中に引きこもる聖職者は、やりたい仕事じゃないよね。ヤクタも、とんでもねェってうなずいてる。

 とにかく、まず先に進もう!

 


 一枚の岩から掘り出したようなつるりとした階段を降りる。十分に広く、歩幅、段差も良いくらいで、でも手すりも左右の壁もなくて、もし足を滑らせたら大変だ。2人とも大丈夫? わたしは、絶対無理じゃないけど、大丈夫とも言いづらいかな。コケそうになったら、後ろから掴んでね。


 地下の部屋が見えてくる。広く、何もない。なにに照らされているのかわからないけれど、薄暗いながら自分と周囲の様子が分かる。階段の先はなおも長い。部屋の床まではまだ10メートルくらいありそうだ。

 床は見えるけれども、壁が見えてこない。どれくらい広いんだろう。不安をかき立てられて、少し大きめの声を出してみた。


「武神さまー、いらっしゃいます?」


 音は響きもせず、沈黙に吸い込まれていく。自然に、だんだん、歩みが遅くなって、やがて足が止まってしまう。暗さ、心細さ。立ち止まりたいわけでもないのに、体が前にも後ろにも進まない。


「……ヤクタ、シーリンちゃん、お歌でも歌ってくれないかな?」

「急にナニ言ってんだ、自分で歌えよ。」

「み、みんなで歌えばいいんじゃないかな。なにを歌おう?」



「お…… ♪オークなんてー♪いないよー♪オークなんてー♪嘘だよー♪」

「♪ねぼけた子供のー♪空目だったーのよー♪」


 ヤクタはこの歌を知らなかったのか「なんだそりゃ」と苦笑いで、わたしとシーリンちゃんで声を合わせていたけれど、わたしもこの部分しか知らなかった。しょうがないから、ここだけずっと繰り返してたらだんだん楽しくなってきて、ヤクタも覚えたようで、一緒になって歌う。

 そのうちに足も動くようになって、歌いながら歩くうちに……


「ねぼ…あ、到着ー!」


 地面を踏みしめて、振り返ると、降りてきた階段は天にのぼっていくようで、星のように上階の灯りは小さく、心もとない。これ、昇って帰るのイヤだなぁ。


[ずいぶん楽しそうだな、アイシャ。]

「あ、武神様。どうしてこんな所に呼びつけたんですか。なんですか、ここ。」


 武神様の声が、また響いた。今も、後ろの2人にまで届いているようだ。

[怒るな。ここは神力が満ちていてな、いくらでも喋れるのだ。俺もいいたかったことがあるし、お前も聞きたいことがあるだろう。まあ、適当に座れ。]



 座れといわれても。あ、階段があるや。ここでいいか。

 と思ったら2人も同じ考えのようで、3人並んで仲良さそうに腰掛ける。よそから見たらシュールな風景だろうなぁ。


「とりあえず、武神様からご要件をどうぞ。」

[相変わらず、尊敬(リスペクト)が感じられねぇなぁ。]





年末スペシャルで今日も更新しています。

お話は全然途中です。来年もよろしく。

お年玉は星でお願いします。


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