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A-1

覚醒。


私の世界は崩壊した


瞼を開くのも億劫


まだ夢の中にいる、いてほしい、夢であれ、夢になれ、覚めるな


…が時間の無駄



部屋のテレビは昨日のまま、何かのドラマの再放送をやっている


亜季を助けて下さい、誰か


癪に障る内容 音量 一切合切をシャットアウト希望




・・・・・





凍るような気温の一夜が開けて、全ての記憶が整理されまた私を崩壊させる



2日前の私からは考えられない


酷く醜く変わった鏡を見てたまらなくなる



一体 何故

どこをどう間違えた?


私の将来設計 最愛の人 生き方 ルーツが


1日で割れて私を底に突き落とす




知った事実


私の中で幼い時から最愛の人であった彼と


物心がつく前から大好きだった妹が




恋人になった




らしいありえないわけがわからないふざけるな冗談じゃない





亜季を 亜季を

助けて下さい



本当に五月蝿い



だったらお前も死ねばいいだろ



!


乱暴に放ったリモコンがフローリングに衝突して乾電池を吐き出した



耳障りは止んだが新しい憂鬱に頭が揺れる



ゴロゴロと回りだす音が


一階の玄関のドアの開閉音と重なり私は小さく呻いた



誰が出ていったのかわかる



実優だ 多分 絶対



初音「……何処に行くの…?」



分かってる

聞きたくないし答えも聞きたくない



外出を告げるドアと壁で止まった電池が同時に奏でて 部屋は私をまた1人にする



姿見を見る、昨日のままの寝巻きに不気味な目のクマ、くすんだ薄化粧


初音「嘘だよ…」



絶対にこんな筈じゃなかった 現実 入浴すらすっぽかした私は下着すら昨日のままで



おかしい



こんな私は

こんな現実は




絶対 認めない





。。。。






夜、どう時間が経過したのか覚えてない


いや覚えている限りなにもしてない


寝てないし食べてないし飲んでない



そんな些末より大事な事がようやく眼前に拡がると、対峙した眼に目線を合わせた



言いたい事があるの わたし




実優「お姉ちゃん」




意外な程に落ち着いた視線 待ったこちらと同じように 一つ、芯が通ったような反応がますます妹を変えていくようで



初音「…おかえり 実優」



最初から私はもう私でいられない



実優「ただい」

初音「分かるよね?何を言いたいか…初が」



名実共に仲良し姉妹だった

少なくとも私にとっては


いつも一緒だったし、守ってきた、、 大好きだった、 ずっと それが 当然 疑う余地なんか欠片もないくらい続いていくものだと思ってた

当たり前でしょ



昨日 までは



初音「…」


実優「……」



交差する目線 こんな時も身内にすらこんな酷い顔見せたくない。

だから早く済ませたい


少し空いた間 目線だけは見慣れたそれと結び続けた




実優「…怒ってるの?」



初音「…は…?」



いや

今何て言ったこいつ聞き間違えた私



こんな仲良し姉妹だったから当然私の気持ちも気付いてないとは言わせない


そうは思ったがその問いはそれも、これも、全て了承した上で言っていなければ出てこない筈


しかも上から

あの実優が

私に隠れてただけのような 妹が

抜け駆けし


いや違う、そもそもそんな事になるとか!ない!ありえない!



!!


たまらなくなって別人の襟元を掴んで壁に押し付ける



実優「うっ…」


僅かに苦悶を浮かべ私ははっとして力を緩める




私は昨日今日でもう一体いくつを信じられないんだろうか



初音「っ、はあ…は…、ちょっと……あのさほんと」



どうゆうつもり?


聞くまでもなかった



実優「…ずっと、ずっと、私っ…負けてきた、いつも…2番 で。

なんでも、どれでも、全部お姉ちゃんが上で、だって私、っは、勝てなかた。


でも…



でも…これだけは!


これだけ負け、ない、…渡さない…


私が一番に なる…から…絶対」





初音「…っ……」




睡眠不足の私の拘束は


簡単に振り払われて


こんな乱暴な素振りは初めてで





今日から実優は


妹は、私の敵になった






。。。







一番最初にする事、それはもう決まってる




何か、ズレて、おかしく、イビツなら


正さなくては。



顔は酷いけど‥、電話ならいいよね



····

僅かな呼出音の後


『もしもし』


機械越しに響く音‥一気に心が吹き飛ぶくらい洗われた気がした。汚いものが全て弾けたような


初音「っ、あ‥」


ずっと聞きたかった声、瞬間、泣きそうになる。声が続かない



『初音?あぁ一昨日悪かったな、けど実優も今朝には良くなったみたいだしよかった』



初音「‥っ、うん」


『?どした?なんか鼻声』



どうした?じゃないよ



『‥‥?』



初音「‥‥え」


わたし いま こんな ぐちゃぐちゃなのに 

あなた どうして そんな ふつうなの



『初音も具合悪い?』



わるいよ とっても


初音「っ大丈夫、さっき、起きたばっかでさ。少しボーっとしてるだけ」




『あ、そっか』


そんな うれしいの

あなたは

実優と付き合えて

楽しいの

初がこんなに なっても

笑えてるんだね





初音「洋介こそ、初に何か言う事があるんじゃないの」


なにこれ


『あ‥、んー、実優から聞いてるよな、初音が怒ってたのも分かった。俺、昔の事すっかり忘れててさ。

それで‥、実優と付き合おうと思ってる』




初音「1位じゃなかったのにそうなるんだ」


なにいってるの


『まあ、それは別に関係なかったからな』


関係なかった?

そりゃ関係なかったよ

どうせわたしが勝っちゃうから

どうせフラれるに決まってると思ってたし


なんて可哀想な娘なんだろう


毎日毎日、ムダな努力ご苦労さまって


「ちゃんと話したい」


『う、まあ‥そうだよな。じゃ明日にでも』





初音「今から行く」


『い、うちにか?』


初音「だめなの?」


ムリだ、すぐにこんな酷い状態直せない


『初音、やっぱ怒ってる?』




ちがう   でしょ  


瞬間的に通話を切った


わかる 全部分かる 幼馴染だから好きだからずっと好きだったから


洋介は分かってない


今の怒ってる?はわたしが妹を任せる相手として不安に思われてないかって言い方



確かに思いを伝えてないとはいえ

こんなのフェアじゃなさすぎる



すぐに身支度を整える


目元のクマは過去イチに乗りの悪いファンデで誤魔化して体臭をむりやり香水で閉じ込める


髪を乾かす手間も今は心が持たない


普段付けないヘアゴムで1つに結ぶとジャンパーを羽織って寒空の下に向かった




妹の部屋を横切って下りる階段が全く違う景色に見える


ねえ

現実って急にこんな酷くなるもの?



。。。。






洋介「初音、やっぱ怒ってる?」




恐る恐るの問い掛けは突如として向こうの電源ボタンを押させたようだ



通話が切られた



洋介「やば、めちゃくちゃ怒ってる…」



これはさっき言ってたように乗り込んで来るな必ず



洋介「まあ確かに、急ではあったけど…」




初音はなんだかんだ喜んでくれるって思ってたから わりと複雑だ


遊びで付き合うんじゃないかとか、からかってるだけって思われてるならちゃんと言わなきゃな


‥。




…トン、トン


10分程度、ほどなくして部屋のドアが控え目にノックされた、珍しくインターホンではなく合鍵で入ってきたようだ




ドアを開く。


そこには珍しく髪をまとめて立っている初音が小さく微笑んでいた



初音「こ、こんばんわ…、ごめんね、急に入っちゃって」



洋介「…、あ、いや別に構わないけど…。?」



以外にも弱々しい笑顔を向けられて幾分ほっとする


殴られるかと思った。


というか‥、


憔悴しきったような顔、柑橘系の香りはいつもの数倍強い


洋介「寝起きって言ってたけど‥、大丈夫か?」



部屋につくなり初音はテーブルの前に座り込んでうなだれてしまった


初音「‥‥」


らしくない、、束ねられていない髪で顔を隠すように首を振る


洋介「え‥なんか‥?ってもしかして‥」


はっとして言葉を紡ぐ


初音「‥、なに?」



洋介「いや‥‥ホント、どした?元気ないけど、まさか俺のせい?」


初音「‥。知らないよ、洋介が悪いんじゃないの、いっつも」


洋介「知らないのに俺が悪いってなんだよ」


初音「いっつも、いっつもいっつもいっつも、何やってんのバッカじゃないの」


洋介「何だよ、いくらなんでもそんな罵倒されるような事してないだろ」


初音「あるんだよっ、バーーカ」


洋介「実優の事?」



初音「あー‥っもう」


不意に苛立つように初音は立ち上がると顔だけ伏せたままでこっちに突っ込んでくる



! 

洋介「っいって」


タックルするように 

顔を隠すように額が真っ先にこちらの肩にぶつかって静止する



ゆっくり


腕が背中に回された


洋介「は‥、え‥?」



初音「っ、っ」


抱きとめた状態で

小さな嗚咽が肩口を濡らす


まるで仔猫が鳴いているよう



洋介「‥‥初音‥さん?」



どうして 泣く 何が 悲しい



洋介「っ、ほんと。どーしたのさ‥わかんないよ‥」



どうすればいい



初音「わっかんないよ‥もう、全部わかんないんだよ‥」


洋介「そんなショック受ける事じゃ‥」



初音「ごめ黙ってっ、ちょと このまま静かにしてよ‥」


洋介「はい‥」



‥‥


二人で壁に寄りかかりながら

 申し訳ない程度に


しっかりと抱きしめてくれている初音の身体に腕を回す


しなやかな細い肩


実優と恋人になったのに‥、


大人になった初の 体温 少しだけ強い香水の香り

触れ合う肌 熱

女性特有の柔らかさに膨らみ 温もり



洋介「‥‥」



まだ5分も でも


とても平常心ではいられない 



理由も分からないままに刺激が強すぎる


このまま黙ってたらおかしくなりそうだ




洋介「1つだけ いい?」



僅かに間が空くと肩にか弱い声が響く


初音「‥1つだけだよ」




洋介「‥‥何を、言い出すんだって 思われるかもだけど‥


俺‥‥さ、ずっと、初音の事 好きだったんだよ」




時が  ひしゃげたような感覚




まだ繋がってる 返事はない


理由は分からなくてもこんなに側にいる なら話せる 続ける


洋介「ずっと、前から‥‥


‥は、笑えるだろ?好きで好きで、たまんなくてさ‥



どーしようもないくらい、毎日悩んでた‥


何の取り柄もない自分と、


どんどん、先に行って、学校中の、皆の人気者になっていく初がさ‥、眩しくて‥‥辛くて‥‥


どんなに好きになっても、どうせ誰かに取られるんだなって‥めちゃくちゃ辛くて‥」



逃げた



身近にいてくれる ひとに



洋介「最初はさ‥、代わりってか、代償、行為?って言うのかな、そんなんだったけど



実優は‥‥、俺の気持ち、知ってた‥



で、辛くていじけてる時、いつも  横にいてくれた‥


自分だけは、いるって


私は お姉ちゃんとは 違うって」




初音「ひ やああああああああああああああああああっ!!」


突如

金切り声


洋介「!?」


驚いた両親が駆けつけてくる

狂ったように叫び続ける初音






。。。。






何を言われたのか

わからない

ただ頭が 脳が 沸騰したような


おかしくなる時って、まるでカメラみたいに自分達が客観的に見える



とても とても 嬉しい事を言われた筈なのに

地割れが起きてその幸せがまるごと落ちていった




たぶん 私は立ち直れない






初音「なに言ってんの?洋介の話聞いたでしょ、ずっと私の事好きでいてくれたって」


うん、聞いた。すごく嬉しい嬉しい嬉しすぎて泣きそう


初音「だったら言えばいいだけじゃない、今まで頑張ってきたその全ては洋介に振り向いて欲しかったからだよって」


言えばいいだけじゃないよ、よく聞いてた?好きだったって、過去形。て事は今は違うって事だよ


初音「はあ?まだ自分の思いすら伝えてないくせに何言ってんの、もしかしたら私のとこに来てくれるかもしれないじゃない」


来てくれない事実を突きつけられたら、私は折れる、もう生きていけない


初音「このまま何もしなかったって結局折れるのよ、だったら気持ちは伝えるべきでしょ」


簡単に言わないで 分かるの 私には


初音「なにが?」


今の洋介は実優を見てる ほんの、つい最近だけど

気付いたの、だから今どうしたって二人の繋がりは切れない


それだけじゃない、私が枷になるだけ、気を遣わせて


気まずくなって そんなの地獄でしょ?


初音「もう一回同じこと言うわ、何もしなければホントの地獄なのよ、だったらみっともなくてもどうなっても足掻きなさいよ」


バカだよ、わたし 今までやってきた事、間違いだったって事?洋介に好きになってもらいたくて頑張って頑張って

逆に苦しめて遠ざけてたってこんなのない 辛すぎる


初音「間違いなんかじゃない、努力した事実はあんただけのもの、ただ行き過ぎて、すれ違ってただけ」



もう取り返しつかないのかな


初音「そんな事ない、きっと分かってくれる」


すごく怖い


初音「このままでいいの?実優は あいつは全て分かった上でずる賢く洋介を掠め取ったのよ、許せる?」



許せない!絶対、殺してやりたい


初音「そんな事したって解決にならない」


どうすればいい


初音「奪いかえすの、私なら出来る」



二人は もう付き合ってるのよ

その辺にいるカップルとはワケが違う


物心つく前からそばにいて 良いとこも嫌なとこもみんな知ってる


そんな繋がりが しかもお互い好きになった繋がりが簡単に切れるわけないよ


初音「確かに楽じゃないかもね、でも好き合ってたのはこっちのほうが長いのよ、思い出して貰うの。そうすれば、あるいは」


どうしよう、どうすればいいかわからない



初音「しっかりしてよ、だから一刻も早く伝えるの、今の気持ちを 今までの気持ちを全部」



できるかな


初音「必ずやるの、いい?そして、気を許さない事」





初音「もう、分かってるでしょ、あの娘は 背中に隠れてるだけの子供じゃない、、私のやろうとする事を必ず邪魔してくる」



実優



初音「冷静さを失わない事、いつも通りいけば勝てるはず 必ず」



わかった やってみる





。。。。





あの日の事はよく覚えてない



洋介の両親に何か聞かれて

お母さんに連絡がいって


それで家に帰った。事情もなにも口にしてない


何もわかるわけない


家族なんて 大抵役立たず

今までの人生 当たり前のレールに乗せてくれた感謝以外思い当たる節がない




そして



今目を覚ました



実優「おはよう」



起きぬけに 真横に実優がいるということ

今までなら抱きしめて幸せに浸ったが


今はもう

敵だから




初音「実優」



鋭い眼光で見てもいつも通りのポーカーフェイス



実優「‥はぁ、何が聞きたい?」



初音「は?」



実優「お姉ちゃんのことずっとウザいって思ってた事?ずっと邪魔でいなくなればいいって思ってた事?

それがそんなに悪い事?私だって人間なんだよ


何をしても何があっても一ノ瀬初音の妹なのに一ノ瀬初音の妹のくせに、初音の妹、妹、妹、妹


そればっか、もうウンザリ‥



酷い時は男子に囲まれて顔をジロジロみられて大笑いされた事もあった、全部お姉ちゃんのせいだよね」




初音「っ‥」




初めて聞く 妹の本心


こんなに鋭くて まくしたてる悪意


言葉が出ない



実優「‥別にそんなの、今更どうでもいい



いいじゃん、お姉ちゃんは


学校中の男子が求婚してくれるよ、別に洋介がいなくても色んな幸せを選べる」




実優「お姉ちゃんがおかしくなって寝てる間、洋介と何があったと思う」





実優「というか、もう無理だから、余計な事して邪魔しないで」





初音「今日の実優はもの凄くお喋りだね」




実優「っ、」





初音「いつも そのくらい大きい声でストレートに話せばいいのに、必死に敵意を向けてるみたいだけど今の方がずっと魅力的」



実優「余裕あるふりして、可哀想。内心は動揺しまくってるくせに」




初音「動揺?」



実優「洋介と付き合ってるのは私、それだけはもう変わらない‥ずっと。


私が本気で頼めばお姉ちゃんと会わせなくする事だって出来るんだよ」



初音「‥ねえ、実優」



ケンカした事がないわけじゃない


けどこんな鋭利な本音は聞いたことがない




初音「そんなに、初が怖い?」



実優「‥。どういう意味」



初音「見れば分かるよそのくらい、必死にまくし立てて 初の心を折ろうとして



でも、ごめんね。


私の心は、貴女には折れないわ」




実優「‥っ」




初音「怖いんでしょ、洋介の心が初の方に戻るのが」



実優「そんな事にはならないっ、わ‥、わかるでしょそれくらい」




初音「‥‥かもね。


確かにそうかもしれない。決めた事をコロコロ変える人じゃないから。



ただ、今回のはあまりにもフェアじゃないと思うわ」





実優「そうかな?


あんなに、好きでいてくれた洋介を放っておいたのはお姉ちゃんじゃない」



初音「そう、だね‥」




実優「あんな辛い思いをしてる事に気付けないなんてさ」




初音「そこに関しては同感、自分の間抜けさにホント参った」




実優「だったら」


初音「だったら」





初音「初は今までの気持ちを全部告白していいよね」




実優「っ、」



初音「そんな事にならない確信があるなら止める必要もないよね?」



実優「!、やめてっ!やめてっ


奇跡なんだよ‥私の人生で唯一 二度と起こらない奇跡‥それを奪ったりしないでっ」



初音「‥違う、奇跡なんかじゃない」




実優「いいじゃないっ、お姉ちゃんは何でも持ってるから、その気になれば誰とでも付き合えるでしょ!?」



初音「今の初に洋介以外の人と幸せになる未来なんか見えない」



実優「‥ダメ、絶対ダメ」



初音「信じてないんだね、付き合ってるくせに」



実優「信じてないわけじゃないっ、ただ‥そんな波風立てないで、放っておいてよ‥お願いだから」




初音「実優はさ、それでいいの?


相手を騙したみたいに付き合って、あんたの奇跡ってそんなにグラグラしてんの?」




実優「騙してなんかないっ!グラグラしてたとしても、これから盤石にするから」



初音「抜け駆け以上の事しておいて勝手な事言わないで」



平行線


もう話す意味はない気がする



…。


お互いにその雰囲気が浸透して沈黙が流れる





初音「出てって、ここ初の部屋だから。」




自分でも驚くほど冷たい声





実優は無言で部屋を出ていった











無音の中で気持ちを整理する



最近は特に時間の流れが速い気がする





初音「……」






しばらくしてまた掌のスマホを眺める





また電話…か


正直嫌な予感




けどかけるしかない






『もしもし』




初音「…初だけど、こないだは…」




『ああ、うん。なんか‥色々ごめん』



初音「こっちこそ迷惑かけてごめん、あのさ話したい事が」



『悪い、俺から先にいいかな?』




初音「え、‥あ、うん」



『ちょっと言いにくいんだけど‥、俺達少し距離を置かないかな』



初音「えっ‥」



『初音に悪気とかないの分かってる、ただあまりにも近すぎたと思うんだよ、これまでが



こないだみたいにされても、正直どうしていいかわからない‥』



初音「うんっ、あのね、洋介の言いたい事は分かる、分かるんだけど、今どうしても聞いてほしい事があるんだ」


『反対されてるのはよくわかった』



初音「10分だけでいいから会えないかな、こないだみたいな事には絶対ならないから」



『やめた方がいいと思う、もちろん否定したけどうちの親とおばさんには俺が初音を襲ったんじゃないかって疑われてるんだ‥


こないだの見れば無理ないけど』



初音「あっ‥ごめんなさい、ちゃんとハッキリ否定しておくっ、だからっ」



『初音ちゃんはすごく優しいからきっと俺を庇うって、だからたぶん完全に鵜呑みにはされない』




初音「それは、ホントにごめん。きっと私がなんとかするから、だからお願い‥‥5分だけ、すぐに終わるから」



『実優から聞いてる』



初音「え‥‥なにを?」



『初音にこんな事言いたくないけど、そういうのは正直迷惑かも‥』




初音「待って!実優がなにを言ったの?たぶん嘘だからねそれ、お願い、私を私を信じてっ」



『‥ほんと、何言って、どうなってんだよ‥正直、耳を疑うわ』



初音「ちがうの!そんな事言いたいんじゃない、お願いっ話を、話をさせて」



『もちろんいつでも聞くよ、ただ冷静じゃない時話しても意味無いんじゃないか』


初音「洋介‥そんな事、言わないで‥冷静になるから。


お願いだから初に時間をちょうだい‥」



『‥‥、‥‥悪いけど、会うのだけはごめん‥。


初音もゆっくり休んだ方が良いと思う‥


話ならまたゆっくり聞くよ』 



初音「‥‥、‥なんで‥?」



『今実優と一緒なんだ』



初音「‥‥」



『実優も、おばさん達も心配してる‥。


またいつでも連絡していいから、とりあえず今日は終わろう』



初音「‥‥、っ、分かった‥」




『ん、じゃまた』



初音「いつならいい?約束しておきたい··」




『‥‥それは初音次第』




初音「‥‥」




『おやすみ』




私次第ってなにそれ ムリじゃない

もう何を言っても届かないの?

時間が経てば経つ程 洋介は実優と恋人になっていくのに


‥、


通話が切れた後も震える手でスマホを耳に押し付け続ける



初音「‥好きだったんだよ‥ずっと‥ずっと‥


胸が張り裂けそうだよ‥どこにも行かないで‥」





。。。。







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