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床下の迷宮  作者: へますぽん


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そうきたか

 歌いながら出発して紡ぎながら進んできたトンネル延伸の道のりだけど、そこそこ水が出て通れないとか砂地で崩れて迂回するとか話に聞く通りの難度が高い道中でカメラがあったらドラマになったかもしれないと惜しく思う。深刻になる選択をするシーンでもチンチラなのと商業ベースのトンネルじゃないせいで、キュプキュプ笑いながら、ハズレかー!迂回ダァー!よっしゃ次っ!全く懲りない風情で進んできたのだが

 今日、青年部が初めて消沈しているのを見ている。


 ずっと地下を掘っていたので地面は続いている。そう思っていたんだけど

 眼前にあるのは崖。足の下を見下ろせば、川が滔々と流れている。きらめく日差しのもと水飛沫が弾ける。岩の間を碧く透き通る水が流れる様子は永遠に見てられる環境動画の素材みたいだ。山肌を削って流れる川の外側、流れの強い方に崖があって内側に砂が堆積して川面を眺めるナイスバーベキュースポット!ってあるじゃない。アレの崖面に穴が開いてそこから我々が顔を出している。


 飛び降りたら水面だろうと大怪我するだろう高さなので、足下が崩れると危険過ぎだって、ガックリ崩れたまま後ろにすさってゆく。チンチラの後ハイハイ集団可愛い。こんなに悲しい瞬間でももちもちでサイコーのパフォーマンス。

 崖をぐっと降る下向きのトンネルで川底を潜るルートもあるけど、水が出る。チンチラなので水っぽいトンネルは嫌なのだ。砂で崩れる不適の地層の時は、砂質を皆で夢中になって確認して大はしゃぎしてた。チンチラだからね、砂浴び必須。

 トンネル内に高音が反響して耳が痛くなるほど吠えるし、砂の確認は被毛にどれくらい馴染むかなので各自転げ回り蹴散らしブルブルして埃っぽいし、空中に舞う細かい砂で鼻くそ真っ黒になる勢いだった。

 あの時と水っぽいトンネルとでは通れない以外全く共通する部分がない。大きく広げたヒゲをふるわせ、鼻先を寄せあってむちゅむちゅと団子になっていた遠征団は意思決定をした。


「今回の遠征はここ迄とする。猛禽、蛇の侵入の無いよう総員全力で埋めもどすぞー!」

 シルバーがハイハイから立ち直ってヤケクソな大声で撤収を告げた。崖に巣穴を作ると外敵が来なくて安全な育児ができるから絶対この穴に注目してる鳥が既にいるよね。わたしのせいでわりとゆったりめの広さが確保されているので獣も入居希望するに違いない。だが、このトンネルはチンチラの巣穴に直結しているので、断固お断りだ。開けた穴をみっちり埋めガチガチに塗り込めるように塞ぎ、棘あり落とし穴を仕掛けて、わたし達の遠征は終わりを告げたのだ。

 

 旅の成果は、砂。清潔な砂はいくらあってもいいものですからね。

19日から 東風に乗って 新しい話を始めます

夏に海の話を書きたいと思う気持ちが募り、明日から四日分予約投稿しました

重複しながら進められるのか.でも今年の夏は今だけなので、挑戦します

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