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床下の迷宮  作者: へますぽん


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だれだっっっ!!

すみません。前日の操作を誤って完結済みになっていますね。

ビックリ&がっかりさせてしまい申し訳なくおわびします。

 巣穴の通路は太いところ、狭いところ、天井の高いところ、潜るところいろいろあって、そのうえまっすぐな進む部分は少なく、昇ったり下ったり回ったりする。

「なんで?さっきのところからまっすぐ進んだ方が掘るの早くない?」

 付き添いのチンチラ(艶やかな金茶のブチがキャラメルポップコーンを思わせるパイド)に迂回が多い不満をたれている。彼は気のいいチンチラでパシリにされているのに気にも留めない。

「掘れる場所っていうのがあるんだよ。地盤の強度が無くて掘ってもザラザラ崩れるとか掘ると既存の通路を崩落させるとかやたら硬くて飽きちゃったとか」

 ほぅ。難しいことがわかるものだ。すごいな。トンネル技術者か。

地層で手触りの変わる壁を触りながら、豪天号たちのいた居室から明るい作業場所へ戻ってゆく。もうすこしで編みあがるベストを仕上げたら肘までの丈のケープにかかる。背中が長めだといいかもしれない。

 などとやりかけの作業の段取りを考えていたんだ。


 まさかこんな惨状に遭遇するなんておもわないで段取りしていた。


 壁にかけていた網が足元にぐしゃりと固まりになっている。ただ落ちているんじゃないのは網からピョコピョコとはねだしている紐の断片がいくつもあることだ。結びかけの紐の残りの長さは飛び出すほど短くない。

 短く切ったものがいるのだ。

いやな想像をして網を持ち上げると案の定、網はあちこち破られている。紐が切られて穴だらけズタボロってやつだ。むごい。

「……害獣はだれだ?」

チンチラは、かじってしまう生き物だ。電化製品のケーブルをかじって絶命したりするので部屋の中でお散歩させるときも絶対目を離すことなく注意深く監視するべし。って飼育の心得にある。

 紐があったらやってしまうかもしれないが、普通のチンチラじゃない。知性の豊かな彼らに油断していた。

「…なぁ?これ、何に使うか、いっていたよな?猛禽除けだって知っていたよね?」

 秋の初めからせっせとかけてきた手間と時間を無造作にフイにされたことに、低くキレる。


 部屋の端へ寄った何頭ものチンチラたちはもじもじと尻を動かしつつ耳を伏せて、責められていることは伝わっているようだが返答はない。

 もちろん目は合わない。

「…なぁ?だれだ?なんのために壊した?」


部屋中に散らばっているチンチラを拾いに寄っていくと、さかさかさか、すさささ、と忍び足で素早く滑るように逃げ惑う。膝下で手が届きにくいこともあって捕まえられない。


「んんんん!!!おいっ!まてよ。こらぁ!!!」

声を荒げると一斉に跳ねて、部屋中を跳びはじめる。もうポップコーンメーカーの中にいるのか大ぶりのブラウン運動再現装置なのか、三角飛びと跳躍力でえげつない逃げっぷりである。まったくもってかすりもしない。なんだよ、これ。

「があぁぁぁぁぁ!!!」


「ミズキ。ミズキっ!待って。ごめんなさい。ちゃんと話させるから」

 付き添いをしていたキャラメルポップコーンが膝の後ろからしがみついてくる。

「あ?あぁぁぁぁぁぁ!!!」


むしろ私が『害獣』になっている、現状。

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