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床下の迷宮  作者: へますぽん


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糸を紡ぐこと

だいたいのヒロインって糸を紡いでいた。おとぎ話の相場だ。

万葉集でも砧打などして繊維関係の描写は見かける。


なので、わたしが蔓草を毟って皮から繊維を得ようとしているのは決して逸脱しているものではないと思うの。

ドアマットヒロインならイラクサを紡ぐものだし。

イラクサって触れただけでものすごい痛みをともなうので、とてつもなく丈夫な指先だよねぇ。

って農作業用スパイク、長袖長ズボン、手袋、ゴーグル、垂つき帽子の正装で除草しながら従姉妹が云っていたのを思う。


豪天号に頼んで、岩に穿った穴に水をぶち込む。

水は巣穴の最奥、主様の洞の前にあるけど、桶はない。

ビーフボウルで得たドンブリで水をチマチマ汲んで運ぶのかと一度はゾッとしたけど

そう、ビーフボウルがあるんだから、ウォーターボールもあるのよね。

神社の手水のような岩に水を溜めて蔓草の皮を浸す。

腐らせるので当然巣穴の中ではやらない。臭いの行き場がないから。

巣穴の近くで見つけた岩まで足を運ぶんだよ。

そうまでして手をかけた草を野鳥の巣材などに奪われないようにせっせと枝や草で覆って隠すなど更に手間をかける。


腐らせているあいだに更に蔓草の皮を剥き。


懸命に量産を図るけど、草地を覆うほどのヒモの量を得るのはたいへん。


異臭にも慣れ、ぬめる水の中に腕をつっこんでつかみ出す繊維は白く輝いて見える。

繊維を取りだした後の水にはナイナイを唱えて、新しい水と次の皮を入れてゆく。


食事を用意しなくて済むのはすばらしい。作業しているとご飯のための買い物や調理がおろそかになりがち。その一切をしないのでビーフボウルのドンブリがどんどん溜まってゆく。

豪天号との旅のなかで茸の栽培は洞窟向きじゃないかと思ったけれど

帰着後ちょっとだけ試したものの、管理が難しいのか、環境が向いていないのか、さっぱりだった。「夏休みにチャレンジ!茸栽培キット」とか通販であったけど、そんな安直なものではないノウハウが秘められているのだな。

……牛丼にちょい足ししたかった。

グリルした茸をトッピングしたらぜったい美味しいと思わない?

もちろん煮込んでもいい。


「ねぇ。豪天号。こういうのがスローライフっていうヤツなのよね?」

「夢中で蔓草をむしるのが?」

「いや、草地を整備したり、縄も綯うし?いろいろしてるじゃない」

豪天号たちはせっせと嫁ちゃんたちを匿う天井収納を整えている。

その合間を縫ってカルデラ風草地予定地や落とし穴を設営してくれる。

冬越し前に主様の返品してくる使用済み敷き藁で堆肥を作って新しい草地を整えたいのだ。

まだ、まったく紡いでいないですね

これから越冬期間中の手仕事で紡ぐ予定です

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