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邂逅

愛車を失ったことによるダメージが大きい。


集落の避難所で叔父友ママたちから聞いたが

被災した近隣ではレンタルも中古車も自転車すら払底している。


お使いも逃走も困難さが増している。

防災意識が高く、人的被害が軽微で済んだとはいえ壊れたものも失った財産もあるのだ。


市街地の駅まで歩いても、見張られていたらどうしよう?

一駅歩くって都内とわけがちがうから、躊躇う。

鉄道は線路の保全がまだ終わっていないから急いで行っても乗れないらしいし。


江戸時代の人みたいに歩いて旅にでるのか。

ちょっとすごいな。

江ノ島まで夜歩く、サークルのイベントみたい。


そう思うとちょっと楽しい気持ちになる。

出発は明日の早朝にして、県庁所在地を目的地に決め地図と行き先を調べて今日は休むことにする。

宿泊も目処がたたないから、できるだけ距離をかせぎたい。

ロフトにハンモックをかけて眠った。


翌朝、日の出とともに小屋を出て、県庁所在地から高速バスで移動するべく、大きなバックパックを担いで歩き出した。

まだすこし混乱はしているけど、生活環境が整った小屋を離れるのは惜しい。

基本車移動の県道は歩道の整備が整っておらず、歩きにくいし傍らを行く車は法定速度の概念を知らないようにすっ飛ばしてておっかない。

そのうえわたしの荷物は馬鹿でかい。

追い越して行く車から覗きこまれる。頻繁に目があう。


「みずきちゃん!」


追い越した車が数m先で停車する。


「げっ!」

五百円玉ハゲの元凶がいかにも心配していました風に車から降りてくる。

「今朝から、県道の謎のリュック女が投稿されていたからすぐ判ったよ。

怪我がなくてよかった。

送って行くよ。ご実家?それとも今はどこに?」


「けっこうです。お勤めはどうなさったんですか?平日ですよ」

「有給消化だよ。どこに送れば良い?」


知らない人の車に乗ってはダメだと小学生でも知っている。

ましてお前の車になんてぜったい乗らない。

口をつぐみ首を横に振る。


「ねぇ。乱暴はしたくないんだよ。でも車でちょっとぶつかってからの方が話やすいのかな?」

白昼の法治国家での話ですか?


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