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床下の迷宮  作者: へますぽん


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絶望てき

大人女子なのでテキトウなおしゃべりはする。

今日は暑いですな、寒いですな。から始まる実のない愛想。

ある程度の訓練で身につくスキルだ。

不器量を恥じて人見知りな学生だったが、金を稼ぐ身になってからは見よう見まねで覚えた。

今じゃ、実家に帰る度に

お前はへらへらと調子のいいことばかり言って。まるで高田○次のようだと言われる。

愛想良くする努力の成果をなじられる。


そのオバちゃんなスキルと干し果実の袋をもって

王都の店番を攻略する。


「今日は風が強いですねぇ。どうもほこりっぽくて」

などといいながら店に入ってゆく。

いかにもお上りさんな風体の物見高いようすでおざなりに接客されながら

尋ねるのだ。

チンチラはどこに生息しているのか。どのくらい入荷しているのか。

他のどうでもいい話に取り混ぜてクスクス笑いながら、

やだ、スゴい。さすが王都。

知らなかったぁ。

などとテキトウな相鎚をうちながら

「あ。おかしいかがですか?」

飴ちゃんを勧めるおばちゃんのように干果をさしだせば、奥からお茶を勧められてさらにダラダラ王都の流行なども聞き及ぶ。

どこものんびりした商売でコンビニバイトのあくせくとは隔絶している。


攻略に時間がかかるが話し好きの物見高い観光客という立ち位置なので

いままでのように狙われにくい。

なぜならこの大都市には似たようなお上りさんが毎日大量に流入していてありふれているからだ。

「それにしてもミズキの話長すぎる。もう、毎日ダラダラ、べらべら。ずっとそれを浴びてるのシンドイ」

スリングのなかで昼寝もしてられんとプスプス不満を述べる。


「じゃぁ、もう止める。帰ろう?それとも、わたしの伴侶を探すのもいいかもー」

あちらこちら、毛皮商、愛玩動物扱い店、高級服仕立て。チンチラの気配のありそうなところをまわるが、近年入荷がないとしか返ってこないのだ。

わずかに期待がもてそうなのが

主の待つ我が家だ。

それも滅多に獲れないうえに量が少ないから仕立てることができない。

養殖もしていない。

充分獲れていたので、養殖しなかったら、急に収量が減った。

そして生息地では絶滅したっぽい。

という近年の状況らしい。


「手遅れらしいよ?」

嫁取りに動くのが遅かったっていうか?

所詮、他人事だし。

と突き放すと耳を伏せてヒゲをしょんぼりさせてから、もそもそと尻をむけるのだ。

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