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床下の迷宮  作者: へますぽん


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乗車

ガタガタ、ゴツン。

サスペンションのない木製の車輪が拾う地面の段差を尻にダイレクトに伝えてくる。

スポーツ仕様のサスの硬い車のヘッドレストに頭を預けると脳震盪起こしそうだと思っていたけれど

越えているね。

それでも、歩くより安全だからぜったい降りないよ。


様々な思惑で街道を歩くわたし達はくりかえし襲撃に逢い続けたので、

ガチギレして徒歩で進むのを放棄した。


いま、わたし達の目的地は王都である。

たくさんの人が集まるところに行けば、流通している多くの品物や情報が集積している。と期待しているのだ。

なんといっても、目的地を変更したことによって乗り物にも乗れる。

尻の骨が板に当たっても、伊達にお肉(クッション)を充実させているわけじゃない。まあ、自身の重みでがつがつと衝撃が大きくなって痛みを強くしているのは、気づかないことにする。



宿泊もちゃんと家屋だ。

加護があるからか土の上でも板の上でも安らかだが

ベッドで就寝は久しぶりでテンションあがる。


「ミズキ。待って」

宿の部屋に入る前にスリングから降りた相棒がわたしを留める。

ふんふんとヒゲを大きく震わせて入り口から部屋中を検分してまわり、最後に後足で立ち上がると威嚇するように前足を掲げ「ないない」を唱えた。

「窓を開けて空気を入れ替えて」

それでも相棒には不満があったようだ。

ヒトの巣穴だからね。


「轟天号の可愛い妻って何色の毛並みだろうね」

本当にどうでもいいことを尋ねる。

いるだけで御の字。毛皮の状態で選ぶことなんてないのに。

語ることがないので、なんとなく問うてみる。

本当に聞きたいのは

なんであの街道を進むだけであんなに襲われるまくるんだ。

呪われてるのだろうか。




荷造りをして一度借り住まいに移動することになりました。


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