茸栽培の可能性
「ねぇ。巣の中で茸を栽培したら、主様の食事に差し上げられるんじゃない?」
荷物からLEDランプを出して足元を照らしながら夜道をガンガン進む。
歩いていると葉擦れの音か衣擦れ、息の音しかしないので、豪天号に尋ねてみた。
茸だと暗くても栽培可能なものもあるだろう。
「肉がお好きなんだと思う。昔、われわれの食事を差し上げてみたことがあるんだけど
あるとき戻ってきたんだよ」
冬になる前にごっそり新しい草を納めたら、そのまえに届けた草らしい潰れてクチャクチャになったものが替りに戻ってきたそうだ。へたり加減とか臭いとかから敷き藁にしていたかんじ?
主の気配がひどい強さでしみてて、まだ ないないが使えなかった頃のチンチラたちは
恐怖で震えが止まらず、ぜんぶが出た。涙や鼻水やよだれや嘔吐、脱糞。
全部が止まらない状態でも巣穴に置くわけにはいかないので、上位の雄達が震える手と口で巣穴の外に出したという。
まことに勇者である。
「とくに咥えると主の気配が強くて、ちびる」
「抱えると鼻先に主の気配がきて、震えながらもらす。しかも抱えている草がこぼれる」
巣穴の外に草を排出してから、穴を襲いにくる狐やオオカミがいなくなった。
チンチラ以外にも効果があるようだ。
また、遠くまで草を採りに行かなくても巣穴周辺でこぼれ種によって充分採取できるようになった。
「ものすごく辛いんだけど、主様の御加護があるんだよ」
「今もやっているの?」
「秋までには帰還する。ミズキのその長い腕には皆期待している」
うへぁ。
それはうれしくないお知らせだな。
「その日は皆潔斎して臨む。そうすれば漏らさないから!ミズキ心配はいらない」
なあ。潔斎か、それ?
飲食を慎み、心身を清らかにしてるけど。
むしろ胃カメラ前に中身空っぽにしている、のほうが近くない?
「主様の敷き藁は効果が抜群!腰の袋から出せ」




