身近な山菜
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先週のぼやきはすでに差し替えております。
「あいつら、何を採ったんだろう?」
「おい。ミズキ。足元危ないから、やめろ」
制止するのを聞かず、足元を探りながら傾斜のついた藪の中をそろそろと進む。
木立のとぎれた空き地に足跡や踏み倒された草の痕跡が残っている。
このあたりだ。
「あー。あいつら、松露を採ったんだよ。これだ」
地面に顔をだしている、黒くて皺だらけのライチに似た丸いものを指す。
「どんぐり?」
糞?と言いそうなのを飲みこむ。
「茸だ。人間が好んで喰う。イノシシも」
「主様にお土産にしたら、喜ばれるかしら?」
「さぁな。差し上げたことがない」
とりあえず摘みのこしたものを拾う。
「明るくなったら連中が、犬や豚連れて採りに来るだろうから、回収が済んだら移動するぞ」
鼻が地面に近く、高機能なので夜間でも片っ端からピックアップしてゆく。
両手のひらがたちまちいっぱいになってあたりに強い香りが充満する。
「トリュフか!それは熱くなるねぇ。しかも街道沿い。どうして今まで気づかれなかったんだろう」
「同じ条件でもあったりなかったりだからな。今回は鼻の利くやつがいたせいだろ」
じゃあ、私たちが今こうして回収しちゃったら、また無い状態に戻ってしまうのか。
「踏み荒らさなければまた出てくるから。どんどん拾え」
イノシシの襲来を警戒しつつ、連中の拾い残したものは全て回収した。
でも。
せっかく拾ったけど、この街道沿いで売れば、また目をつけられるだろう。
金に換えるのは難しいな。
背囊から巾着を出し、ざらざらと茸を納める。
「リゾットにペラっと振るだけでお札がバサバサっと飛ぶ伝説食材が。こんなに」
ねえ、もう。コレを主様に届ける為に帰っても良いかなあ?
そんな日和ったわたしの気持ちに気づいたのか、
きっ!とこちらを見上げて
「おれは伴侶を諦めていないからっ!!」
おおぅ、男前。
轟天号がそう言うんじゃ仕方ない。
せっかくのねぐらを諦めて、夜の街道をスタコラと進む。
誰もいないので、競歩選手のようにプリプリ歩く。
走ってもいいんだけどさ。
この先にチンチラの生息地がありますように。




