表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/90

サバ缶コロコロすっとんとん

ログキャビンも屋根裏の秘密基地も、地下室も、ツリーハウスも、どれもステキな男のロマンだと賛同する。

だが、ログキャビンに地下室をつけていないし、謎のプライベートシアター・サラウンドオーディオシステム付ということはない。


あれはあるはずのない洞穴の入口。


ドキュメンタリー風冒険バラエティが喜んで突入してゆきそうな風情だ。

カメラマンと照明の後に、【未踏の洞窟】へ隊長が慎重に足を踏み入れる。



決して開けてはいけませんよ。

って言われたら与兵も浦島太郎も青髭奥さんも

どうしても開けてしまうのだ。


あの穴はヤバい。

決して入ってはいけないやつだ。わたしは素人なので断固拒否する。

芸人じゃないので、フリだとはいわせない。



わたしはたくさん読み聞かせをしてもらった子どもなので

どんなに振られても、のらないって学んでいる。

トリオ漫才のネタじゃない。生命の危機を感じる時にやらないよ。


点検口から覗くときは腹ばいになり、決してバランス崩して転がり込むことのないように

慎重に様子をうかがっている。


泥棒は帰ってこない。気配もない。


だけど、洞穴に冷凍焼きおにぎりや玉ねぎやサバ缶、冷凍みかん、餅。

投入する都度、正確に呼びあげるので

どこかにバーコードリーダーがついているようだ。


物流が滞る恐れのある地震の後なのに、貴重な食料をつぎつぎに放りこんだのは愚かしい振舞だが

そのつど少年合唱団のような透明感のある高音の美しいコーラスが

「サバ缶コロコロすっとんとん」とか響くんだぞ?

投げるだろ?

全力で投げるしかないだろう?


子供の頃、読み聞かせのとき

「じいさん、ダメじゃん。午後も仕事するのに全弾投入したらおなかすいて倒れちゃうのに」

みなでつっこんだものだが、今はじいさんに同意してる。


これ以上投げると補給に困るという当たり前に気づいたとき

ようやく点検口に収納バスケットと梅干しやミソの容器を納めた。

そして念のため点検口の蓋はロックした。

もし連中が帰ってきても出口はない。

そのうえ、わたしはいまから集落に降りる。


続きは明日の朝6時です。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ