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床下

屋内からも床下からも音がしなかった。


わたしが小屋に戻る決心をするのが遅すぎて、

また、貧乏すぎる小屋にウンコをする価値もないと呆れて立ち去ったのだろう。

そう判断したのは日が暮れて、さらにスマホのバッテリーも尽きてからだった。

食器や額など壊れるものは全て床に叩きつけられて破損していたし、床もコットの毛布も泥だらけだった。

保険会社に報告するときは写真があったほうがいいかとそのままにして

充電しながらリュックからハンモックを出して就寝した。

小さい余震の度、ミノムシのように揺れて乗り物酔いした。


朝も建物ごと揺り起こされる。

軽自動車半壊ショックでクーラーボックスを納屋に放置していたのを思い出す。

重いし嵩張るから徒歩では持って降りられなかった。

肥料と工具類が棚ごと崩れ落ちて埋もれていた。クーラーボックスが割れてないことを喜ぶ。

「マリトッツォがある!こういうときこそ甘いものだ」

冷凍してよかった。

プロパンがきちんと使えるか確認してコーヒーを淹れる。キッチンで立ったままの朝食。土足。

落ち着かない朝だ。


2個目を開封しようとしてフイルムの継ぎ目をさぐる指先が滑る。


開け放していた点検口に転げ落ちた。


「マリトッツォ、コロコロすっとんとん」


まじか。

変な声する。聖歌隊風の高音で歌うように響いた。


点検口の下には伯父友によりベタ基礎が打ってあるので、そんなおにぎりコロコロを歌われるはずがない。

盗賊達が徳川埋蔵金を探しに行く場所もなかった筈だが、床下で忍者ごっこをしたかったのか?

閉めたら怒って飛び出して来そうでこわくてなんとなく閉められなかっただけだ。


おそるおそる覗きこむ。誰とも目が遭いませんように。


床下に賊はいなかった。

泥足のあとがベタベタついている。

床下のベタ基礎が見当たらない部分がある。

外から見たときはコンクリの土台の上に丸太ログが乗っていた。

見たこともない色の岩?土?がのぞきこんだ点検口から見える。

点検口からすこしズレたところに濡れた鉄さび色の鍾乳洞っぽい開口部がぽかりとあいている。

いまだかつてそんなものがこの小屋にあったことはない。あれば叔父友が埋めてから施工する。

このへんの土と質感が違う。

鍾乳洞なんて近隣にない。

オカシイ。


胡散臭い洞穴が床下に発生している。



続きは月曜日です

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