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床下の迷宮  作者: へますぽん


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領域の見直し

夜行性の動物は夕方から活動を活発化させるそうなので

芋を担ぐなり私は脇目も降らず逸散に帰路に着く。

日が翳ってから迷宮周辺に到着するのはお断りだ。

日中でも色々出そうじゃないか。

「ねぇ。あの洞からチンチラ以外のなんかって出現するの?」

オバケとか魔獣とかイロイロこわいもの。

「出てくるぞ。ろくでもない盗っ人とかヒトデナシとか」

ぁぁぁあ。侵入者。生きてたら出てくるか。帰りたいもんね。


じゃぁ。急いで帰りたいわたしとは街に戻るときすれ違ったりするのかも。

手ぶらで帰るのもつまらないからって、行き掛けの駄賃代わりに追剝になられても怖いので

「出会わないように、近くに現れたら隠れたいの。気付いたら教えてね」

「連中は道を通るからこっちには来ない」


街道を外れてから、草をかき分ける藪を漕いでいたが、そうだよね。

普通、頻繁に攻略に来るものがいれば獣道くらいは出来てるもんだわ。


ショートカットで街道と祠を結ぶコースは高低差と藪と沢っていうか湿地。まことに起伏と困難に富んだレイアウトで主様のご加護がなくては攻めあぐねる。

ときおり、ふんがっっ!って年ごろ女子的にどうなのっていう荒い息遣いで岩を越え、崖を登り、沢を降りる。

懐のチンチラをビルビルって震わせたのはご愛嬌だ。




「ご飯買えたよ!主様にもお土産買ってきた。あと一月は食糧賄える。籠城可能になったから、もうしばらく居候よろしくお願いしまっす」

居室に豪天号とともに戻り、元気に報告をあげる。


「…」

「……」

チンチラのリアクションがオカシイ。

意思疎通のない普通のチンチラのようにこちらと目が合わないし、返事もない。


「…え?…出てけってこと?なんかわたし、無礼でもはたらいた?」

何だろう。違和感。

山吹色のチンチラが奥から現われる。

「おかえり。…ちょっと、新しい通路でトラブルがあったせいで。

皆おまえになんて言っていいか…」


「え?あの?元上司がなにか?」


「昼前に手勢を大量につれて現われ、侵入を目論んだ」


大量に?手勢?

そんなにあの人に伝手があったろうか?

いや。違う。

消防団とか警察に行方不明とか埋まったとか遭難したとか間違った報告をして

この混乱した環境下でどうしてそんなご迷惑を掛けているんだ!


「あのっ!!一緒に見えた方々にお怪我はなかったでしょうかっ?」

もしあったら叔父にまで一緒に土下座してもらわなくてはならんが。

どうしよう。涙目だよ。

あのストーカー許せん。



幸いというか、慎重に対応したそうで

穴にいきなり入ることはなく、また来た人数が多かったため小屋にすら入りきらず

周辺の沢や崖なども捜索して、一旦帰ったらしい。

「なんだがガチャガチャなるガラクタが幾つも入ってきた。全部つついて壊しといたけどっ!」

サファイヤが武勇を誇る。

そうか。ラジコンとかドローンで内部を調べるよね。

地底だもの、迂闊に侵入して有毒ガスが充満してたら爆発や中毒がこわい。


しかし、サファイヤ強いな。

ラジコン潰すのか。戦う勇姿が見たかったかも。


サファイヤのバトルシーンを妄想していると山吹の渋い低音がわたしの耳に響く。

「それでな。主様が雑踏を厭うて」


人混みイヤってわかる~。


領域を再設定(リアロケーション)なさった」

「それは?」

どういうことだ?

「もうあの入口はやめた」


「…えぇぇぇーっと?わたしの退出はいかがいたしましょうか?」

銀行の時間外出口的な通用門はどこに?


「どうせ籠城を望んでいたじゃないか。気にするな。ここに住んで良い」


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