注文の多い迷宮
いまいる場所は居住区というかスタッフヤードで
本通路は詳細を聞けばSasukeかアトラクションのように高低差と罠があって侵入者を狩る。
足元はぬめる、ごろつく、出っ張りがあるか小さい穴か落とし穴があり
壁は手をついたらぬめるか、尖った石で怪我をするか、竹槍が飛び出す。
頭上は十分な高さがあるように見えて、唐突に梁が横切っていたり、尖った岩が下がっていたりして頭や顔をぶつけるようになっている。
ところによっては這って潜る。
「この通路は急遽増設したものながら、このように侵入者の気持ちを盛り上げる作りになっているのです」
解説をしながらドヤるグレー。遊園地のスタッフか。
「最終的にこの先のスロープに出ます」
そういって手招きする。
足元の灯りが、ぽぽぽ。と灯って進行方向へ誘導する。
数匹のグレー達とスロープがあるという通路の先を見物にゆく。
2階建ての屋根くらいの高さがあるものの勾配は緩やか、但しコブ斜面。
「つるつるなので、わずかでも踏み出そうものなら忽ち足をとられて転倒しながら降りてくるようになっています」
スロープの下には白く積もっている雪?砂場?が衝撃を吸収するためか ある。
「あれは香りと風味をつけるものです」
???
「スロープの上に出るためには煙突通路を通ってくるのですが、見えますか?出口から湯気があがっているでしょう?」
スロープに出る前に温い湯が溜まった大きな水たまりがあって転倒しながら来た侵入者は泥やぬめりや砂を払いたがっているので、全裸で飛び込む。
そして水面を伝う風の動きで水たまりの奥にある煙突通路を見つけて、足や手を突っ張ってスロープへと誘導される。
まるで穴に潜りたがる習性を利用したドジョウさばき機みたいだ。
トレーに幾つもほそい筒があってそこに開けられたドジョウたちは我先にぴったりサイズの筒に入っていくんだけど、筒の中に刃が仕込んであってお腹をまっすぐ割く。後ろに下がらないしドジョウは割かれても死なないのでそのまま出てくる。流水で洗浄しているので腸も詰まらない画期的な商品と中国メディアが伝えていた。
すごく感銘を受けたけど、日本だと背開きなのでそのままじゃ使えない。
賊は自分で脱衣して泥や便を洗浄して水気を切ったら『香りと風味をつけるもの』を全身にまぶしたのか。
なにその注文の多い迷宮。
「まさか」
「あそこに祭壇がありますね」
暗い砂場の先に鳥居のように赤いポールが何本も立っていて微かに明るい。
暗がりに灯るあかりは誘っている。
台があって供物のように何かが盛られている。
灯りでキラキラ反射している。
「アレに釣られてはいけません。あそこに入った者は主の元へ行くのです」
風味付けされて賊はボス部屋へ行ったのか。




