勝手に入ってくるわ粗相するわ。攻略とか迷惑
小屋の玄関の鍵は掛けたけど
賊が破った窓は段ボールで塞いだだけだから、再突入は容易いだろう。
現在地のトンネルが小屋の下のどこになるのか分からないけれど、
チンチラたちの耳がソワソワと追っている先の動向を見つめる。
声を殺して膝の上のサファイアに問う。
「脇道みたいなところに隠れたいんだけど、あるかな?」
「それ、ここ」
足元の灯りとチンチラの誘導で一本道のように来たけれど
何本も通路があり、わたしがうずくまっていた場所から一番太い通路を進むと
先日の賊の足跡を追うようになっているそうだ。
「不躾なはなしだよね。主に断わりなく土足で入り込んでくる。
通りを壊す。
糞尿を垂れ流す」
「さいてー」
パイドとサファイヤがヒゲを大きく広げて憤る。
「こんな密閉空間であんなにもりもりウンコしてもらったら、メタンガスで爆発してしまうわ」
そういえば、この齧歯類たちのフンはどうなっているんだろう?
友達んちのウサギは食べながら、跳ねながら、ポロポロしていたけど、わたしの尻の下の砂にも落ちてるのかしら。
「案じなくて良い。ちゃんと始末している」
ブラックベルベットが小さな桃色の手を振る。
「ないない」
そう言いながらヒラヒラさせるとシナモンの尻からこぼれたものがキラキラと消滅していっそ美しい。なんてイルミネーション。
「瑞希!聞けよ。オレは怒ってる」
「あああ。失礼。そうね。よその巣穴で脱糞は良くないわ」
「3匹ともジャンジャン放尿して水たまりがこっちにまで流れ込んでっ!」
ブゥブゥ、プキュプキュと鳴きが入ってきた。
賊は尻の躾が悪いらしい。そうだろう。ちゃんとしたヒトは泥棒になんかならんな。
「じゃあ、あの泥棒はここに入ってきたのね」
「ここじゃない。向こう側の迎撃用通路のほう」
対侵入者対策通路があって、そちらは武装されているため、メンテナンス以外では立ち入り禁止だそうだ。
竹槍が下から生えてる落とし穴、横から竹槍が飛び出してくる溝、上から岩が落ちてくるなどの通路の先に主の部屋への『扉』がある。
続きは来週の月曜日朝六時です




