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床下の迷宮  作者: へますぽん


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追っ手の気配

「わたしは勤めに出ておりましてね。上役はとても親切で温厚な方でした。朋輩にも恵まれまして、お賃金は世間並みとは言えませんでしたけれど、独りで暮らせるくらいはいただいておりました。お客様も無茶を言う方は少なくて、良い職場だったんです」

チンチラに会社勤めが伝わるかはさておき、自分のエサをちゃんと用意して暮らしていたと言いたい。

「この半年ほど上役の挙動不審が続いたんです。伴侶がいるのにわたしに求愛をするのです。わたしには受け入れがたいのでお断りしてこちらに引っ越してきました。今日、追いかけて来たと拐かされたときに言われました。今、走って逃げ込んだのはそんな訳です」


「じゃぁ、さぁ、上からする物音はソイツ?」

チンチラ、耳いいな。パイドは音に反応してヒゲをワサワサさせている。わたしには聞こえない。

「みずきー!って呼んでる」

シナモンもマズルを膨らませて言う。

皆、耳をクルっと同じ方に向けているから、ソコに音源がいるのだろう。

「お願いします。匿って。誘拐監禁されそう」

恋情が叶わないならあの世で。みたいな独りよがりのロマンシチズムで心中に巻き込まれるのはまっぴらだ。

「みかん、美味しかった。もっとくれる?」

膝に登ってきたサファイヤは声が若い。甘えるように問う。

「みかんはまだ花が散ったばかりでまだ食べられないけれど、スモモがもうすぐ美味しいし、瓜もなるし、オジさん(叔父友父)のトマトはとても上等だからもらって来る。スナップサヤエンドウももらう」

生きていればな。


ロールパンのように美しい金褐色が房つきの長い尻尾をスパンと振った。

「良かろう。ここで静かにしているといい」


「それから私をロールパンと呼ぶな」

キツネ色ダメだろうと言い換えたが不評か。

ヤマブキ色なら可憐な花の印象も良いし小判のリッチな感じもするからアリ?

「オレ、ツワブキ好き!」

あー。わたしも。美味しいよね。花の少ない時にも咲くし黄色い一重の姿もカワイイ。

でもシナモン、今それ言うな。

月曜日と火曜日の朝六時に公開しています

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