7話 神
気がつくと、タケシは何も無い空間に一人ポツンと立っていた。
「ここは…どこだ?…。」
最初こそ戸惑っていたタケシだが、すぐに気付く。
「そうか。俺は死んだんだな…。」
(そうするとやっぱりここはどこなんだ?天国にも地獄にも見えないが…?)
タケシがそう考えたその時。突如としてタケシの前に一人の男が煙のように姿を表す。
「タケシよ、よく来たな。」
突然現れたその男はそう言うと、さらに言葉を続ける。
「私はお前達人間が神と呼ぶ者…。」
「この世界にお前を呼んだのは…ぐあっ!!」
話しを続けていた神と名乗る者に、ネコ科の動物を思わせるような瞬発力と愛嬌で近付き一撃を見舞うタケシ。
「うるせーんだよてめーわ!人が考え事してるのにわけわからねー事いーやがって!!」
「何が神だ!頭イカれてんのかてめーわ!!」
タケシは倒れたまま動かない神と名乗る者の懐を漁り、財布を抜き取ると。財布から札だけを抜きポケットにしまう。
「この世界ではな、奪われる方が悪いんだ。」
タケシは神と名乗る者に財布を投げつけると、先程この世界に来たばかりにも関わらず、この世界のルールを語る。
「結構持ってるじゃねーか。」
先程奪った札の枚数を数えるタケシ。
その時だった…!
「合格だ。」
声のする方に目を向けると先程殴り倒した男が平然と立っていた。