2話 ギルドにて
冒険者業が盛んな街アイヴィス。
大通りには武器、防具屋。冒険者向けのさまざまな道具屋などが建ち並び、行き交う冒険者達で賑わっている。
そんな大通りの一画にある冒険者ギルドの建物から爽やかな風を思わせる、それでいてドスの効いた声が響き聞こえてくる。
「おい!アバズレ!てめーどーゆーことだよ!」
タケシは冒険者ギルドの受付のアバズレに、何故自分を評価してくれていたはずのアバズレがCランクのクエストを紹介したのか理由を問いただす。
「落ち着いて下さい、タケシさん。」受付のアバズレは、タカシに暴言を吐かれた事など気にもしない様子で、笑顔で答える。
「猪狩りのクエストは報酬が良くない上に、危険度も高いので冒険者の方々にはあまり人気がないんですよ」
「なので、このところ猪の数が増えてこのまま放っておくと街の方にも被害が及ぶ可能性もあるんです」
「タカシさんなら実力も確かだし、街の人の為にこのクエストを受けてくれると思って。」
「説明不足ですみませんでした…。」
アバズレは宇治のお抹茶のような上品な色の髪をかいて、タケシに謝る。
その言葉を聞いたタカシは。
「怒鳴って悪かったアバズレ…。猪狩り行ってくらぁ」
そう言って威勢よくギルドを飛び出した。
「粋な男どすなぁ……。無事をお祈りしているどす」
見送るアバズレは一人呟くのであった。