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仮初
「オイラはタケシ。犬アレルギーさ」
タケシは賢い子だった。故に犠牲になったのだ。
「オイラはタダシ。豚の真似が得意さ。みんな豚の真似をする時ブーブーとか、ブヒブヒ、とか言うけれどオイラから言わせるとピギィピギィ、なのさ。だけど良いのさ。豚の真似に貴賤はないのさ」
タダシは豚の真似が得意だった。故に犠牲になったのだ。
「ワタシ、タカハシ。オカネダイスキヨ。オカネダスヨ。ワタシハモノモッテルササレルイタイヨ。オカネダシタホウガイイヨ。オカネオカネ」
タカハシはオカネが欲しかった。故に犠牲になったのだ。
時間だ。今日の物語はここまでにしておこう。