1話 捨てられた男
「タケシ。悪いが今日でお前にはこのパーティーか
ら抜けてもらう。」
それは幼馴染で勇者である、アントニオからの突然の提案であった。
「どうしてだアントニオ!俺たちは上手くやってきたじゃないか!」
納得がいかないタケシは、アントニオに食ってかかる。
「俺は俺なりに粋で…いなせにパーティに貢献してきたじゃないか!!」
納得がいかないタケシはアントニオに食ってかかる。
「その質問にはアタイが答えてやるよ!」
二人の話しを黙って聞いていた気っ風のよい美女、ユキが口を開く。
「タケシ。アンタはたしかに…いなせさね。それはアタイも認めるよ。」
「じゃあ、どうして!」
タケシはユキに食ってかかる。
「勇者であるアントニオは前衛も後衛もこなせる。賢者のアタイは後衛ができる。」
「そこに、いなせであるタケシがいても、バランスが悪いんだよ!」
「そう言う事だ、このパーティには前衛が必要なんだ」
「悪いがこれ以上話す事はない。出て行ってくれ」
何も言い返す事のできないタケシは、力なくドアを開き部屋を後にした。
「これからどうするかなぁ」
タケシは悩んでいた。いままで冒険者としての活動を時には粋に、時にはいなせにこなしていたタケシだったが。幼馴染のアントニオと村を出てからこれまでずっとパーティを組んでいたせいで、同業者に知り合いも無く、パーティが組めない状況であった。
「効率は悪いけどしばらくソロで活動するか…」
俺は悩みながらもこの街にある冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドの受付に並び順番を待つ。
「あら、タケシさん。今日は一人ですか?」
窓口で俺を出迎えてくれたのは、はんなりとした
京美人と言った佇まいのタエさんだ。
「実は勇者パーティを首になってしまってな。ソロで受けられるクエストをお願いしたいんだが…」
「信じられないどす!タケシさんをクビにするなんて!!」
「今までタケシさんが、いなせに立ち回ってきたからあのパーティは上手くいってたんじゃないどすか!」
ここまで俺の事を評価してくれてたなんて。
顔を真っ赤にして怒るタエさんを見て俺は少し嬉しくなった。
「もう終わった事だ…。いまは食べて行く事を考えないとな。クエストを頼むよ。」
「そうどすね…。承知しましたでありんす。」
タエさんがプロの顔になる。
「タケシさんの実力ですと、Cランクの猪狩りが受けられますなぁ。」
依頼のランクは一番上のSランクから一番下のCランクまである。
さっきは俺の実力を評価してるみたいな感じを出しておいて、一番下のランクのクエストを紹介するなんてとんだアバズレだ!
タケシはタエに、食ってかかる。
「おい!アバズレ!てめーどーゆー事だよ!」