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メリケンサック

作者: 脳みそ

関係する事ならどんなものでもいいので、ご意見・感想をいただきたいです。

これは、【大切な人が登場する】【800文字以内】という条件の下で書いたものです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「え?あれ?俺のメリケンサック知らね?」


机の中をごそごそと漁り尽くした後、太郎が顔を上げて聞いてきた。


「左のポッケ」


甘ったるい菓子パンに齧り付きながら、雑誌から太郎へ視線を向ける。


「お前ってさ、何でいつもそれつけてんの?」


ついでに10年間ずっと思ってはいたが、聞きそびれていた事をぶつけた。


「んー。なんか大切なんだよな。」


太郎はポケットから取り出したメリケンサックを左手にはめた。


「でも、さすがに邪魔だろ。」


「ずっとつけてるからなー。もう慣れた。」


「いつ手に入れたの?」


「えっとね小学生の頃、じいちゃんがくれたんだよ。」


「へー。でもやっぱ変だぞ。」


「うん。」


太郎はそう頷いたが一向に外す気配はない。

こいつにはそういう頑固なところがあって時々、強い人間だな、とつい尊敬してしまう。


 「じゃあ、それのいい所教えてよ。」


そう言うと、太郎は少し考えた後、口を開いた。


「まずね、硬くて強いだろ。それになんかしっくりくるんだよ。別に無くてもいいけど、でも無いとなんか落ち着かなくて、意を感があるみたいな?それにほら、メタルでキラキラしてしてるじゃん!あと分かりやすいだろ、単純って感じがする、そんなとこかな!」


 その話を聞いていると、頑固で、大切にしているものの事をこれほど目を輝かせて語り、馬鹿さが露呈している単純な太郎は俺にとってのメリケンサックなのかもしれない、と不覚にも思わされた。


「そっか。」


俺は雑誌の方へ視線を下ろした。

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