表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/60

1.転生しました。

短編を描いてたつもりが長くなり連載に変更しました。


『サリチル酸C7H6O3、無水酢酸C4H6O3結合...。アセチル基吸着..。97%...98%...99%...エンド。...アセチルサリチル酸C9H8O4生合成完了..。...結晶化、瓶封入。...防腐...保存。』


頭上に魔法陣が輝き、その中で化学式が躍る。

魔力を循環させ、指を微細に動かして調整し、最後に瓶に粉薬を入れて保存をした。


「ふぅ〜、今日の分の解熱鎮痛剤、精製終わりっ!

うーん、王城の騎士団からの依頼がようやく終わった。全く、あいつは怪我人つくりすぎなんだよなぁ。女のくせに強すぎだ…。俺も転生者なのに、全然違う人生だなぁ。」とひとりごちた。





俺の名前は、アレックス。平民だ。

俺はいわゆる転生者で、前世の記憶がある。

高梨裕翔としてここではない世界で暮らしていた。

突出したこともない一般的な日本男児で、薬剤師として病院で働いていた。

チーム医療と言っても薬剤師の立場は低かった。

入院患者さんには薬の説明に行っても嫌な顔されるし、体調を聞くと医者でも看護師でもないのになんでそんなこと聞くの?って言われることも多々あって胃がきりきり...。

それでも、ノルマがあって1週間に1回は服薬指導に行かないといけない...。

薬の変更がなくてもだよ?

副作用が出てないかの確認で行く意味があるのに、行くと患者さんには嫌な顔されるんだ...。

そういう患者もいるが、逆に「薬剤師さん、暇でしょ?ちょっと話聞いて。看護師さんいつも忙しそうにしてるからぁ。」とグイグイくる患者もいる...。


...暇じゃねぇ....。

胃がキリキリ...。


更にドクターが怖いのなんの。

理不尽がまかり通る。

用件だけを求めてくるドクターがいて、定型化した挨拶をすると怒られた...。

例えば、「○○病院薬剤科高梨です。」って電話をとると、「病院名を名乗るな、ここの病院にいるのは当然のことだ!君の名前も興味がない。薬剤科です。だけ言え!」と言われる...。

外部からの電話も回ってくるから正式名称を言わなくてはならないと説明しても理解してくれない。

ある日、電話をしながら薬剤科に乱入されて、怒られた。

おかしくね?

業務は滞るし、最悪だった。


点滴薬剤も、組み合わせが悪いと結晶ができてしまってご法度のものがあるのに、何度ドクターに言っても処方されて、毎回TELコール。

薬剤をこっちに変えてくれと提案をする。

ドクターの頭がわるい...。

業務がまた滞る..。悪循環だ。


朝8時に出勤しても、終わるの夜9時過ぎ...。通常業務時間の後に、薬を作っているからだ。

働きすぎじゃね?


しかも帰ってからも、携帯を持たされてて呼び出されること多々あり。

急患が来ると、鍵付きの保管場所の薬剤を出しに行かないといけない..。トンボ返りだ。


薬に関する業務は好きだったが、その他のことが本当に嫌で、たまに胃潰瘍がひどくなり吐血。...末期だ。

でも、辞めたいとは言えずひたすら耐えていた。

お金は使う暇がないから、溜まっていた。

30歳手前で貯金は2千萬越え。

結婚資金にしてもありすぎじゃね?


そして残念なことに、生まれた年数=彼女がいない........寂しい.........。

それでいて薬剤科長が「高梨くん、彼女どのくらいいないの?」って聞いてくる。

ずっと居ないと正直に言えば人間的に欠陥があると思われそうだし、嘘をついても「なんで別れたの?」とか聞いてこられても迷惑だ。

しかもこの質問、裏を返せば「どのくらいエッチしてないの?」って意味じゃね?

立派なセクハラだ!もうほっといてくれ、結婚する暇も恋人と過ごす時間もない俺に聞くな!


それに俺は“男は30歳まで童貞なら魔法使いになる”という伝説を信じていた。

ここまできたら魔法使いになろうと本気で思ってた。

だから30歳の誕生日クタクタになって泥のように眠って、楽しみに起きようとしたら起きれなかった。


え、なんで??


真っ暗な場所にいて、全然動けなかった。

しばらくすると眩しい光がパァっと飛び込んできて、ゲホっと呼吸をしたら「おぎゃぁ!!」


...........。

赤ん坊になってた。


多分、過労死をしたんだろう.....。

さらば俺の2千萬円(泣)


それで第二の人生を生き始めたが、ファンタジーの世界だったことに驚いた。髪や瞳が、カラフルで、騎士がいたり魔法がある。そんな世界でも立派に生きていかなければならない。

死ぬ直前の記憶、『魔法使いになれるのでは?』と思っていたので、ちょっぴり期待もしてたが魔導士になれるのはお金がある貴族様だけだった。


....この世界でも理不尽な目に合うらしい。くそっ!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ