第二話 『父』
最高の高校lifeを最高の高校lifeを送る、はずだった。
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俺の父はとても勤勉で、毎日早朝から夜遅くまで働き、帰ってこないことも多々あり、子供の頃は俺と遊んでくれず、何時の俺の記憶の中でも、父の姿は無く、母しか居なかった。
ただ、そんな父のことを俺は憎んでなんかおらず、むしろ尊敬していた。
俺が将来立派な人になる為に、小さい頃は習い事を4つもさせてくれていた。
そろばん、ピアノ、サッカー、習字。
俺は器用だから、何でも充分にこなせた。
勉強も人1倍出来た。
小学校受験をし、無事有名進学校へ入学。中学受験、高校受験も順調に行き、残るは大学受験のみ。
そんな最中だった。
一年前の11月3日
俺の父親の会社が倒産したのだ。
父は家に帰ってきた瞬間、膝から泣き崩れ落ちた。
収入源が無くなった我が家は、母親が水商売をし、貯金を切り崩してなんとか生活を保っていた。
しかし、そんな危機的状況の中、俺の父親はすっかり変わってしまっていた。
普段から真面目で勤勉であった為か、会社が倒産した後、父はその反動で毎日酒に入り浸り、エアコンの下で1日2箱もタバコを吸い続けていた。
母はそんな父の姿を見て何度も怒鳴り声をあげ、2人の関係は悪くなるばかりであった。
そして、1月1日。
俺の母と父は離婚した。
俺は母の方へ付いていくことにした。
新しい生活を始めようとしたその直後、
俺は急に体調が悪くなり、病院で検査を受けた所、「白血病」と診断された。
俺は受け入れる事が出来なかった。
ただでさえ、父を尊敬していただけに、あんな姿になって、俺は相当なショックと焦りと不安を抱えており、学校へ行くこともままならなくなって、完全に不登校になってしまっていた。
その矢先に、「お前は白血病だ」だって? 冗談じゃない。
俺の心はズタズタになっていた。
「明日にでも入院した方が良い」と言われ、俺は次の日、家にあった本を持って入院生活を初めた。
入院と治療には多額のお金が必要だ。だけど、俺の母は俺のために、必死になってお金を稼いでくれていた。
そんな母のためにも俺は必死に闘病生活を送った。
色んな健康法を試した。
でも、容体は良くなることは無かった。
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俺はトイレに行こうと思い、廊下に出ようとしたその瞬間、扉の向こう側から何やら会話が聞こえてきた。
俺は耳を澄ませた。
母の声だ。早朝から見舞いに来てくれたのだ。
そして、その相手は。。俺の主治医だ。
「おお、これは奇遇ですね、ケイトのお母さん。」
「あぁ、ご無沙汰しております、先生。」
「あのー、お母さん。重要な話がございまして、ここでは話しにくいので、あちらのお部屋でお話ししましょう。」
ほう、何やら面白そうだ。
俺は興味本位に聞いてみようと、隠れて慎重に後ろを付いて行った。
そして、その部屋のドアに耳を当てた。
読んで頂き、誠にありがとうございます。
今回はケイトの複雑な家庭環境が明らかになりました。さて、部屋からはどのような会話が聞こえてくるのでしょうか....
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