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落ちぶれた男再び

「そんなことって……はい。 こちらです」


 渡された用紙には、要人警護と書いてある。 概要は、国の外へ出るからそこを守ってほしいとのこと。 多少の相手であればメリッサでもなんとかはできる。 だが、問題は要人の名前にあった。


「レオナルド……この男も檻から出たのか」


「え? レオナルドさんが檻に入ることなんてないでしょう」


 受付がメリッサに答えた。 檻に入っていない。 その事実が、メリッサを驚かせる。


「なんで。 だってこいつは……」


「ははあー先日の件を知っているんですね。 これは一部の人にしか知られてないはず……さては、あなた。 あの場にいましたね?」


 どうやら、大事にはなっていないらしいが、メリッサは受付の言葉にメリッサはドキッとした。 しまったという感情だ。


「それは……なんていうかー」


 言い淀む。 下手なことを言えば、そこからバレてしまいそうで。


「それは、良いですねー。 この人、どうやらボロボロにやられたらしいじゃないですか。 私も見たかったー」


 一応、なんとかなったようだと、メリッサは胸を撫で下ろす。 どうしたものかと、彼は悩む。 このままこの男に会っても、クエストを受けさせてもらえるとは思えない。 だけど、彼にはひとつ思惑があった。


「それじゃあこのクエスト、受けようか」


「わかりました。 では、先方にはお伝えしておきますね」


 クエストの受注がすみ、レオナルドの家を教えられる。 その場所へ行くと、それは大きな屋敷が建っていた。 木造で、立派な建物。 その門の前に、ひとり少女が待っている。


「あなたがメリッサ様ですね。 ご主人様は……リリィ!?」


「あ、お久しぶりです。 カルテ」


 よくも考えれば当然のことである。 ここは、リリィの前の職場だ。 メリッサで例えると、前のギルドへ行ったら、ジョーにあったようなもの。 実際に、そんなことがあった気もする。


「お前ら、仲良いの?」


「そりゃ当然でございます。 失礼しました、案内します」


「そりゃあいい。 この仕事終わったら、みんなと遊んでこいよ」


 メリッサは、リリィの耳元でささやく。 彼女は頬を膨らませ目を光らせた。


「ありがとうです」


 廊下は、歩くたびにギシギシと音を鳴らす。 聞くに、侵入者対策だそう。 ただうるさいだけで、メリッサはここに住むのは嫌だなと感じている。

 リリィの耳は音のなる方向にあわせ、何度も方向を変えている。


「お前がメリッサか……お前かっ!!」


「ようじじい。 生きてたか」


 レオナルドは、怯えたような表情だった。 顔を青くしながら、ヘビに睨まれたカエルのように動けないでいる。 初めて会った時と、真反対だ。


「……殺しに来たのか。 私を」


「いや、見知らぬ中じゃない。 今日の僕は頼み事をしに来たのさ」

クエスト

  ギルド集会所にて集められ管理される依頼。 一般の方からギルド、国までもが依頼をすることができる。 その際、難易度を審査し報酬の交渉まで行われてから表へと出る。

  裏で癒着が凄まじいらしく、難易度と報酬が見合わない事もあるため、メリッサのようなまとめて受けることは推奨されない。 そもそも、集会所が許す事も稀だが……

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