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メリッサ覚醒

 再びだ。 再び炎はメリッサの前に立ち塞がる。 炎は、メリッサを殺さんと襲った。 だが、それがメリッサに届く前に、瞬きをする間もなく消えていく。

 メリッサは、今回は見逃さなかった。 まるでアイテムを収納する時のように、炎はメリッサの前にから消えていった。


「なぜだ、どういうトリックだ。 貴様、何をした」


 男がうろたる。 メリッサは、彼を冷ややかな目で見ていた。 先ほどまで、怖くて怖くてたまらない存在だった。 その男が、自分の前でこうも弱々しく見える。


「……覚悟はいいか。 今度はこっちの番だ」


 メリッサは、嘘のように身体が軽かった。 自分が飛んでいってしまわないよう、一歩一歩確実に踏みしめながら男へと近づいていく。


「貴様。 いや、君。 話をしよう。 何が望みだ? 金なら出そう。 それとも、地位か? なんでもやろうじゃないか」


 哀れだった。 自分の力に鼻をかけていた男は、それが通用しない相手にはこうも弱いとは。 しょせん力に裏づけされた自信などもろいものだった。


「いまさら命乞いか? みじめだな。 かわいそうに……でも許さない」


 メリッサはいつものように、ストレージからアイテムを取り出す。 と言っても、中身は空っぽだった。 ひとつのものを除いて。


 取り出したのは、太陽にも重なるほどの炎の玉。 男がメリッサへと向けた魔法と同じもの。 それを今度は、男へと向けて放つ。


「まさか、なぜ貴様が。 くそっ」


 男は再度同じ魔法をぶつけ、相殺する。 男の顔は脂汗を浮かべ、もはや堂々たる雰囲気は消えて無くなっていた。


「この規模の魔法を3発も放てるのか。 すごいな……あと、何発うてる? 俺があと何発放てば、お前は死ぬ?」


「まて、本当に悪かったと思っている。 だから、許してくれ。 たのむよ」


 メリッサの足元へとすがるように、男は謝罪の言葉を続けた。 メリッサは、獣人の少女と自分を重ねている。 まるで自分のことように思い、激怒していた。 力関係が逆転した今、メリッサは止まらない。


「言ったはずだ。 俺はお前を許さない」


 メリッサはそう伝えると、男の顔を蹴り上げようとする。 その行動は、すんでのところで止められた。 警察ギルドの男2人に取り押さえられたことで、蹴り上げることは許されなかった。


「離せよ。 捕らえるべきはこの男だろう。 俺は悪くない。 だからせめて、せめてこの男だけは」


 もがけど離されない。 警察はガッチリとメリッサを拘束する。


「はははっ、よくもやってくれたな。 貴様程度が、この私を……」


「わかった……仕方ない。 せめて1発だけお見舞いさせてもらう」


 メリッサは目を見開いて言った。 その両脇で彼を取り押さえていたはずの警察は、今は床に倒れている。 周囲にはもう野次馬たちはいない。 少女と、男とメリッサだけが、この広い往来にいる。


「冗談だろう。 こんなの、悪い夢だ」


 男は自分に言い聞かせるようにボゾボソと繰り返す。 メリッサが彼を一回ぶん殴ると、その身体を何度か宙で回転させて、地に叩きつけられる。


「安心しろよ。 殺しはしてないから……ほら、とれた」


 メリッサは少女の首輪をつまむ。 すると、すぐにつままれた部分が破けるように壊れた。 少女はドキマギとして、瞳をあちらこちらに向けてから、頭を下げる。


「どうもありがとうです」


「どういたしまして……じゃあな」


 メリッサは、笑顔で答えた。 その後警察を蹴り起こすと、自分を捕まえるように伝える。 警察は、それに応え、メリッサと男に木製の丈夫な枷をつけた。


「え、その。 私は……あの」


「好きに生きろよ。 お前は自由だ」


 メリッサは最後にそう伝えて、警察についていった。

アズガルド王国

  舞台となる国。 砂漠に位置するが、少し北へと進めば平原に出ることができる。 中央に城があり、そこには家庭のインフラを支える巨魔石が存在する。

  魔石から魔力ルートを通って電気や水を供給。 することができ、インフラ代はなんと無料。

  王国なので王家が存在するが、息子が産まれず子どもが女性ばかりで悩んでいるとのこと。

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