あ、あの男は……
「勝負の後の酒は効くな」
身を震わせて、メリッサは息を吐きながらグラスに見惚れる。
「そうだな……メリッサ、君の意見を聞かせろよ」
「あぁ、こういう時は原点回帰だ。 自分のギルドを作って対抗する。 どうせことが起きれば上は動くさ」
指を上へ向けた後、首へと当てて下へと向ける。 メリッサは、当初自分がしようとしていたことを彼に伝えた。
「商業、用心棒、闇……いろいろあるが、対戦争ギルドなど初めて聞くね」
「確かに……すぐに解体されるだろうな。 そんなギルドは」
「すぐに? あぁ、そうだな。 だがその一瞬に全てをかけるぞ」
「では、もう一度」
こつりとぶつかるグラスが音を出して、2人の男が笑う。 この後も、何度も何度も乾杯をし続けて、2人は眠り落ちた。
ーー3日目。
「起きろレオ。 今日も楽しいボランティアだ」
ソファの下で目を覚ましたメリッサが、ソファの上のレオナルドを蹴り起こす。 頭をぐらぐらさせながら、彼は立ち上がると、メリッサへと1発拳骨を当ててから外出の用意をした。
「……ありがとな。 メリッサ、君のおかげで」
「お互い様だ。 俺もお前のおかげで……早く行ってこい」
舌打ちまじりに行かせた後、机の上の書類を取る。 レオナルドのサインの入ったそれを胸へとしまう。 メリッサは、眠気まじりに外へと出た。
辿り着いたのは、集会所。 受付の人は前とは別の人だった。 少しだけ、面倒を感じながらメリッサは書類を渡す。
「これを渡せば伝わると思うけど」
少々ほど待たされて、メリッサが案内されたのは闘技場のような場所。 周囲は壁になっていて床は硬い。 足を置くたびにコツコツと音が響くほどだ。
「よう。 こんなところで会うなんてな……よほど殺されたいらしい」
そこには、1人の男が待っていた。 ジョー、かつてのギルドの仲間であり、俺を裏切った男。
「いまさらお前に用なんてないと思ってたが、腐れ縁だな」
「俺もだぜ。 どういう手品を使ったのか……お前がCランクとは恐れ入った。 だがな、これこそ運の尽きってやつだな」
ジョーが喋るたびに、周囲から黄色い声援が降り注ぐ。 辺りを見渡すと、観客席にジョーの今のパーティメンバーが揃っていた。
「人は欲張ると損をするらしいな……今回の件でよく分かったよ」
メリッサは、つまらなさそうに視線をジョーへと移す。
「いまさら後悔しても遅いぜ。 メリッサ……お前はそこで満足していれば良かったのに」
「何か勘違いをしている様だな。 まぁいい、さっさと始めようぜ」
メリッサの促しで、立会人は手を振り下ろして姿を消す。 メリッサは動かない。 ジョーが舌打ちをしてから剣を抜くと、目にも止まらぬ早さで接近する。
「後悔するなよ。 メリッサ!!」
剣はメリッサの首元を強襲した。
しばらく休憩




