第98話惨劇
マリアは高度を上げる…追尾型の磁力ミサイルはピッタリとくっついてくる。
その時、人工衛星からホープの第二射が放たれるが、もはや関係ない。マリアは人工衛星の真上から一気に機体を降下させる…
さらにはそれと同時に自らの持てるスペックを総動員して生体反応を探す…
『美月…さようならです…世界の王アメリカに栄光あれ…』
磁場圏内に入り、自らの崩壊を悟りながらもマリアは美月の生体反応を探し出すと、機体を真っ直ぐに突っ込む…
〜
『なっ!?』
その時人工衛星内部で指揮をマリア撃破の第二射を放ったホープは驚愕の声をあげる…
いや、正確には人工衛星の真上に向けて飛び立った時にはすでにマリアが何をするかわかっていた。
だが、わかったところで何も出来なかった。
最後の機体をハッキングで破壊するには、まず街全体に張り巡らせてしまった磁場の海を切らなければならない…
それからハッキングしてもマリア本体がいるあの機体のハッキングはさすがの私でも一瞬ではできない。
『クソッ!!クソッ!!死ねっ!!死ねっ!!死ねぇぇぇ!!』
生体反応から真っ直ぐ美月のいるシェルターに突っ切る機体は新たにホープが頭に血がのぼって乱射した通常の撃墜ミサイル…
これも追尾型だが…それをギリギリで躱しきる。
〜
数瞬後…
ついにマリアは完全破壊されたのか、機体はただ落ちているだけだ。
それはいい。
だが、それは私が美月ちゃんの為に用意したシェルターの真上じゃなければの話だ。
マリアの破壊を確認したホープは即座に磁場を切断すると美月の元に向かう。
「美月ちゃん!?伏せてっ!!」
「ホープ!?」
電子回線で文字通り光の速さで飛んできた私はマリアの機体がシェルターに激突するよりも早かった。
美月ちゃんは私の言葉を完全に理解したわけではないだろうが、私の鬼気迫るその声に従い身を屈める…
その瞬間マリアの機体がシェルターに激突する…
私のシェルターは柔じゃない。
マリアの機体と機体に積んである爆薬程度ならシェルターが穴が空く程度でなんとか防いだ。
だが続く、追尾型磁力ミサイルと、私が頭に血が上って打ちまくった撃墜ミサイルをその弱ったシェルターで防ぎきれるかと言われれば否だ。
続くミサイル…それは九官鳥の身体に内臓された小型核兵器を誘爆させてシェルターをオーバーキルともいえる威力で木っ端微塵に吹き飛ばした…




