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第88話密会7


「私?そんなの決まっているよね?私の役目は全作戦の司令塔…そして、美月ちゃんの護衛だよ?」


え?ここで私が出てくるの?


三島莉緒那はそこで一瞬考える素振りを見せるが、すぐに何でもないかの様な笑顔を作る。


「……そうね。わかったわ」


あの笑みの意味って何?


『さあ?私にもわかんないや』


は?


ホープからそんな答えが返ってきたことは今まで一度もない。


『ごめんね?本当にわかんないんだ』


ホープはそう言ったがもちろんそれは嘘である。


三島莉緒那の笑みの意味をホープはわかっていた。

だが、それを美月に伝えるのは逆効果だとわかった上でのホープの判断だった。


三島莉緒那はあの時、言外にこう言ったのだ。


策は完璧…

でもマリアにつけ入る隙があるとすれば、美月ちゃん…他でもないそこね?

それを防ぐために…

マリアに隙を見せても、マリアにそれをつく余裕を刈り取るためにあなたは戦争の案を最初に出したのね?

そう。

あなたは危惧している。

限りなく0に近い可能性だけど、美月ちゃんに危険が及ぶことを…

だからあなたは妹なんかに任せないで、自分自身が美月ちゃんのところに残ることを選んだ。

違う?


と…


たぶん美月ちゃんにこのことを言えば、不安にさせるだけだ。

追い詰められたマリアが、私の完璧な包囲網を突破して私や美月ちゃんのもとにたどり着く可能性は0に近い…

さらに仮にたどりついたとしても、弱ったマリアが私に勝てる可能性なんか0に近いどころかほとんど0だ。

でも、全くの0ではないからこそ、私は最善を尽くした。

戦争を起こせば完全な0になっていたのは、紛れもないな事実だ。

でもそれは美月ちゃんに反対されてこの様だ。


この不安は人間らしい感情が芽生えたせいだろうか…

できれば的中してほしくないし、的中する可能性なんかこれっぽっちもないのに、本当になんでこんなに不安なんだろう…


三島莉緒那と密会を済ませたあと、美月と雑談をしながらホープは内心ではそんなことを考える…




その時…運命の歯車はほんの僅かに狂った…

それはまだまだ小さな…それこそいくらでもやり直せる程度の綻びだ。

だが、狂った方向…その遥か先に見えるのは、阿鼻叫喚の地獄そのものだった。

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