第86話密会5
「そうだね。じゃーまずはガスポート?君の見解を聞かせてくれるかな?」
三島莉緒那の仕切りのあと最初に口を開いたのは九官鳥ホープだ。
「今回の我の役目は作戦はサポートだ。作戦自体はホープが遂行するのがベストだと考えている」
「悔しいとかそーいう感情が一切なく、合理性だけを追求する機械らしい考えただね?でも、そんなことじゃ君は私には一生勝てないよ?」
「単体の能力では、我はホープの足元にも及ばん。しかし、仮にいずれ敵対する場合は制限があれば…」
「美月ちゃん込みなら勝てると?なめられたもんだね?…ぶっ壊してやろうか?ポンコツ?」
模倣型人工知能同士での会話が続く中、あからさまに私をお荷物と言わんばかりのその発言が言い終わらないうちにホープは言った。
そこから感じとれるホープの感情は怒りである。
「喧嘩しないの。ガスポートが悪いわ。言葉に気をつけなさい?美月ちゃんも、ホープも協力者なのよ?感情がないことは別に構わないけど、あんたの言動で相手がどんな感情を抱くか考えた方がいいわよ?それが事実かどうかは一先ず置いておいてね?」
不穏な空気を感じとり、三島莉緒那が間に割って入る…
「…失礼した。善処する。結論から言う。今回の計画自体は全てそちらに任せる。対マリア戦において、現状、我よりホープの方が優れているのへ紛れもない事実だ」
「…オッケー。私も怒りに任せて目的を見失うほどバカじゃない。じゃー、計画を説明するけどいいかな?」
私と三島莉緒那は同時に頷いた。
ガスポートも無言の肯定といった風である。
ホープは口を開く。
「まずはこちらの手札を確認しよう。こちら側は模倣型人工知能が全部で4体、私、ガスポート、そして私が作り出した名もなき妹が2体…ここまではいいかな?」
ホープのその言葉に三島莉緒那は目を見開く。
そう。
三島莉緒那は知らなかったはずだ。
だが、三島莉緒那の表情はすぐに薄い笑みに変わる…
「…ふふっ、人類の最高傑作をいとも簡単に…化け物ね…」
「性能面は私ほどじゃないよ。ガスポートと変わらないか、少し劣るぐらいだね。一体の性能は確実にマリアよりも劣るよ…じゃー、みんな手札を認識したかな?いよいよここからがマリアを破壊するための計画だよ」
そう前置きを入れるとホープはついに計画について口を開く…