第84話密会3
車は豪邸…
そう呼ぶしか語彙力のない私にはできないほどの立派な門を潜ると、そのまま一つだけ空いているシャッターの中に侵入する。
スマホの時計を確認すると車で走った時間は15分程度だから、近いという部類には入るのだろう。
「着いたわ。上がってちょうだい?お茶でも飲みながらゆっくり話しましょう?」
三島莉緒那はそう言うと部下が開けた車の扉から外に出る…
〜
豪邸は室内も私達庶民とは根本的にレベルが違う…
無造作に置いてあるインテリアでさえ、いくらするのかわかったものではない。
「…すごい部屋ですね…」
私は三島莉緒那に勧められるがままに席に着くと、素直にそう感想を述べた。
「あたしの趣味じゃないけどね?どちらかと言うと成金趣味の旦那の趣味よ…。次の機会があったらあたしの趣味で作った屋敷に招待するわ」
三島莉緒那は言った。
「結婚してたんですか?」
「ええ、もう何回もね…どういうわけか、あたしの旦那は長く生きられないのよね…」
私の質問に三島莉緒那はそう答えるが、続くホープの脳内メッセージで私は凍りつく。
『三島莉緒那は大富豪ばかりと結婚し、その全てが不審死を遂げている…8つの殺人事件の容疑者として、何度も取り調べを受けているけど、証拠は何もないし、警察はそもそも三島莉緒那の完璧なアリバイを崩せなかった。まあ、私に言わせれば無能の一言だけどね?』
ホープは最後にそう付け加えた。
つまりは長い間捕まってない完全犯罪者か…
「…今の旦那さんも殺す気ですか?」
私はあえてどストレートにそう聞いた。
そんな私に三島莉緒那は一瞬目を丸く変えるが、すぐに笑いだす。
「ふふふっ、ホープから聞いたのかしら?まあ、美月ちゃんにならいいか。もうそんなつもりはないわよ?昔だったらまだしも、今のあたしはいくつだと思ってるのよ?」
「………」
三島莉緒那のその言葉に私はなんて答えたらいいか分からずに黙っていると、三島莉緒那はそのまま口を開く。
「さて?他に聞きたいことはあるかしら?ないなら早速本題に入らせてもらうわ。まずは美月ちゃん、それからホープ。あなた達に紹介したい人……じゃないわね。紹介したい子がいるわ。…ガスポート?あいさつしなさい」
三島莉緒那は部屋の中央にある、シャンデリアに見えるそれに向かって言ったのだった。




