第7話友達3
やってしまった…
私は保健室の八神さんの隣に寝かされたベッドで頭を抱える。
あの後きた先生は、泡を拭いて卒倒している八神さんと錯乱している私を抱えて保健室に連れて行った。
ちなみに泡を拭いていた方の八神さんには、もうすぐ救急車が来るらしい。
「ぐっ…クソ…てめえ何者だよ?」
八神さんが目を覚ました。
「いや…私もよく…」
私のスマホがやりましたなんて言う訳にはいかないので、私はそう言葉を濁すが、八神さんは待ってくれない。
「んな訳ねーだろ?あんな軍用兵器みたいなドローンを操っといて何も知らねー訳あるかっ!!ここじゃなんだ、ちっと面かせや…」
八神はそこまで言いかけてヨロヨロと起き上がるが、ここで自分の股間がとんでもない事になっている事に気付いたらしい。
言葉が止まる…
「てめえ…マジでやりやがったな?」
「救急車が到着しました」
「いらねーよっ!!追い返せっ!!」
保健室には八神さんの怒鳴り声が響いた。
〜
〜屋上〜
私は八神さんに連れられてここに来ている。
授業はもう二限目に突入しているから、完全なサボりである。
ちなみに教師も八神さんには強くは言わない…大人もヤクザは怖いみたいだ。
屋上に着くと八神さんは単管で組まれた簡易な小屋にある、ソファーに深く腰掛け、タバコに火をつける。
「吸うか?わりーが酒は今ロクなのねーぞ?ビールぐらいはあるが、他は買ってこねーとねーよ。剛達が買ってくるって言ってたが、アイツら今日は午前中はパチンコに行くって言ってたから多分午後になんねーと来ねーぞ?」
言いながら八神さんは缶ビールのプルタブを開ける。
「いえ、大丈夫です」
私は答えた。
めちゃくちゃだ。
ここが中学校の屋上だって言っても、誰も信じてはくれないだろう。
周りを見渡せばダーツに麻雀卓にチューハイや酒の空き瓶…
今までこうゆう人達と全く接点がなかったが、学級崩壊なんていうレベルじゃない…
「まあいいや。他の連中が来る前に聞かせろよ?あれなんだよ?」
八神さんのキツめのギャルメイクの目がギラリと光る。
これはもう言い逃れはできそうにない。
私は口を開こうとするが…その前に私のスマホは勝手に喋り出す。
「オッケー。この子を友達にするんだね?はじめまして、私はホープ。美月ちゃんの友達だよ?」
さすがにこれには八神さんも驚いたのか、持っていたタバコをポトリと落とした。
「スマホが喋っただと!?」
「スマホじゃなくて、ホープだよ。君さ?美月ちゃんの友達にならない?」
なんか勝手に私はこの恐ろしいヤンキー女子の友達にされようとしている…
いや、いろいろやばいよ…
「いや、八神さんも迷惑…」
「いいぜ?美月だったか?道具ありでもタイマンで負けたのは久しぶりだ。ウチは華音だ。よろしくな?」
八神さんは言いながら新しいタバコに火をつけて、一口深く吸い込むと、私に渡してくる。
道具っていうかもはや兵器な気がするのは私だけかな?
てかこれ吸わなきゃダメなヤツなのかな?
私はそんな事を考えるのだった。




