第75話特別相談役
翌日…
「おはよう。美月ちゃん。よく眠れた?いや…聞くまでもないか…」
昨日の一件の影響か、ぜんぜん眠れなかった私に九官鳥ホープは言った。
私は立ち上がる。
「学校?無理しない方がいいよ?疲れてるんだから休んでもいいと思うけど…」
「いくよ…華音たちが待ってるし…」
正直完全に疲れている私だが、1人でいた方が正直しんどいので学校には行きたい。
私はいつも通りの時間に家を出る…
「大姉御、お迎えにあがりました」
家を見た私を待っていたのは、はじめて見る人物だった。
「すいません、申し遅れました。自分は西田っていうもんで、親爺さんより、大姉御の身の回りの世話を任されまして…本日よりお世話になります!!」
西田と名乗った男は腰を90度に折り曲げて私にそう挨拶をした。
後部座席の扉が開いた玄関に横付けのベンツは華音の家のとは違い、白色だ。
そこに後ろからもう一台の黒色ベンツ…
華音の家のものが現れる。
中からは華音が降りてくる。
「…美月?あー……大叔父貴が用意したのか…まあ、リムジンじゃなかっただけマシか」
「おはよう…華音」
「おう、おはよう」
家の前に停車している白いベンツを見てそう言う華音と私はあいさつをやりとりする。
「いえ、姉御。リムジンですと、いざという時に小回りがきかないので、安全面を考えるとこちらの方がいいとの親爺さんの指示です。リムジンがよければ明日から…」
「…いりません…それで十分です…」
「失礼しましたっ!!」
寝不足のためか、自分でもわかるぐらいの恐ろしく不機嫌な声が出た。
西田さんの腰がまた90度になっているのも仕方ないのかも知れない。
「…その様子じゃ全然寝られなかったみたいだな?どうする?今日は屋上で寝るか?」
「うん…さすがにそうする…続きは車の中で話そ?」
私はそう言って西田さんの車に乗り込もうとする。
「…美月なら嫌がると思ってたが、乗ってくのは以外だったな?」
「うん…歩く元気はないからね…」
最初は不思議そうにしていた華音だったが、続く私の答えに得心がいった様子になる。
「さっ、姉御もどうぞ…」
「さっきから姉御って一体…」
「すいません、大姉御と五分の姉妹の華音の姉御のことですが…ご不満でしたか?」
西田さんがそう言ったその瞬間、私のあとから車に乗り込もうとした華音はフリーズしたのだった。




