第74話決意3
その後の華音との話し合いの結果、ミシェルはしばらく華音の家にいることになった。
ミシェルをアメリカに帰すことも考えたが、ホープに調べてもらったところ、ミシェルは既に死んでいることになっているらしい…
やろうと思えば、ホープの改ざんによってミシェルの死亡を無かったことにすることも、ミシェルの為に新たな戸籍を作ってアメリカで生活させることもできた。
けど…
『アメリカに送ったら、マリアの秘密を知ったミシェルをマリアが生かしておく可能性は0だね。
マリアからすれば、ミシェルを生かしておけば、アメリカの世論が炎上して、マリアの非人道的なやり方に対する反対運動が起こり、マリアの研究機関ごと消滅して、マリアの制作に関わった軍の幹部や政治家の首が何人飛ぶかわかったもんじゃない。
まあ、そうなる前にマリアは世論操作をするだろうけど、そうなる可能性は0じゃない。
マリアはそんな危ない橋を渡るぐらいならミシェルを消すだろうね?』
ホープのその言葉でマリアをアメリカに帰すという選択肢はなくなった。
逆に日本ならどうだろう?
日本なら私がした三島煌一とした約束…
自由に八代目北川組を使っていいという約束は健在だ。
私やホープ自身も近くにいる以上、そう簡単にマリアも手は出せない。
生半可な攻撃は返り討ちに遭う可能性が高いからだ。
一年前…ファミレスで食事をしていた私達を襲撃したマリアに対し、ホープは研究施設をミサイルで吹き飛ばすことで報復したことを私は先程ホープから聞いた。
当時の私だったら、度を超えたホープのその報復を非難していたかも知れない。
だが、今の私は違う。
だからこそホープも私に今になって話してくれたのだろう。
マリアなんて存在はこの世に存在しては絶対にダメだ。
アイツは人間を馬鹿にしている…
道徳心がまだ未熟なホープなんかとは比べるまでもない。
冷酷非道な悪魔にも劣る最低最悪の殺人マシーンだ。
〜
その後は華音にミシェルを頼んで私は帰路につく。
現在は華音の家の周り…いや、この街全体をカモフラージュしたホープの警戒ドローンが飛び回っている状況だ。
じきに三島煌一から派遣されてくるボディガード達も到着するだろう。
そう。
これは戦争だ。
第三次世界大戦なんてのは冗談じゃないけど、これは私達とマリアの戦争なのだ。




