第6話友達2
「おはようございます」
「おはよう」
私は学校の玄関に立っていた先生にあいさつをすると自分の下駄箱の前にいく。
靴は…ある。
画鋲は…入ってない。
みんなからすれば当たり前かもしれないが、私にとってこれは普通ではない。
画鋲も接着剤も入っていない朝なんかいつ以来だろう…
私がそんな事を考えていた時だ。
突然私は突き飛ばされた。
「どけよっ?いつまでそこにいるんだよっ!!ウチの靴はてめえの下なんだよっ!!」
突き飛ばされて思わず尻もちをついた私はそれをやってのけた人物を見上げる。
全身をブランドで固めた服装…
かなりキツめのギャルメイク…
ここが街中ならそれもわかるが、何を隠そうここは学校なのだ。
「八神さん…」
私はその人物の名前を口にした…
八神華音…
広域暴力団、八代目北川組の直参、三代目八神一家の現組長の娘…
同じクラスだけどスクールカーストは完全に除外…
カーストが底辺の私とは別の意味でだ。
以前、私と間違えてこの子の下駄箱に画鋲を入れた子がいたが、その子は学校帰りにフルスモークのハイエースに誘拐されて、丸坊主にされたあげく山の中で集団レイプとリンチをされたショックで今も学校を休んでいる。
『美月ちゃん、殺る?』
チラリと携帯に目を落とすと携帯に恐ろしい文章が打ち出されているのを見て私は全力で首を横に振る。
この人は私だからこんな事をした訳じゃない。
デフォルトでこれなのだ。
「だからいつまでウチの進路を塞いでんだよっ!!マジでぶち殺すぞ?」
「いや…すぐに退きます」
『…やっぱりちょっとお仕置きした方が良さそうだね?まかせてよ。軽めにやるからさ?』
私はホープを止めようとしたが、間に合わなかった。
ヒュンッヒュンッ…パリンッパリンッ!!
それは聴き慣れない音と窓ガラスが粉砕する音…
その割れた窓ガラスから、今度は30近い数のドローンが侵入してくる。
ちなみにヒュンッヒュンッ…という音はドローンに搭載されたサイレンサー付きの銃声である。
30近い数のドローンはそれぞれスタンガンにスタンバトン…催涙ガスに…その他にも見た事もない武器を装備している。
30近い数のドローンは一斉に八神さんに殺到する。
八神さんはまるで女子とは思えない身体能力でドローンを4つも叩き落とすがそれまでだった。
ついには催涙ガスドローンの直撃を喰らい、怯んだところにスタンガンドローンの一撃を首筋に受けて卒倒する。
股間が濡れているのは、スタンガンドローンの一撃でどうやら漏らしてしまったらしい…
幸いというべきか、八神さんに関わりたくないからか、学校の玄関の目撃者は0だった。
「何事だっ!?」
スタンガンドローンのバチバチバチッという大きな音に気付いて、飛んできた先生が来た頃には、30近くいたドローンは窓から外に出ていたし、八神さんに叩き落とされたドローンも後からやってきた回収ドローンに持っていかれた後だった。