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第68話交渉


「…JCヤクザ……最高幹部………特別相談役って…おいしいのかな……」


『美月ちゃん、しっかりして!?これは現実だよっ!!』


ホープのその言葉になんとか私は正気を取り戻す。


いやいやいや!!

ありえないでしょ!?

15歳女子中学生が日本最大の広域暴力団の最高幹部っていくらなんでもおかしいでしょ!?

正気を取り戻した私が三島煌一に反論しようとした時だ。


「…無駄よ?煌一はこうなったら話を聞かないわ。素直にあたしお金でももらってから、自分でボディガードでも雇えばよかったのに…そうすればこんなのに目をつけられることもなかったのにね?」


その方法は考えつかなかったが、私にはそもそもそんなツテなどありはしないからそれも仕方ないことだろう。


『いや、そんなのは私のデータベースから適当に見つけられるよ?』


は?だったら言ってよ?


『いや、今回、私は美月ちゃんに一任しちゃったし、あんまり口を挟むのはよくないかな?って思ってさ』


脳内ホープと私が言い争いをはじめた時だ。

三島煌一と三島莉緒那の間の空気も不穏なものになる。

やっぱりこの兄妹の仲はあまり良くないみたいだ。


三島煌一は声を荒げる。


「莉緒那っ!!てめえ喧嘩売ってんのか?」


「…本当のことでしょ?……………はいはい。降参。あたしが悪かったわ。悔しいけど、あんたを本気で怒らせたらあたしに勝ち目はないわよ」


三島煌一の殺気がより鋭いものに変わった時に、三島莉緒那は両手をあげる素振りをしながらそう言った。

さすがは兄妹なだけあってどこまでなら言っても問題がないかわかっているようだ。


ここで三島莉緒那は仕切り直す。


「さて、話が脱線したわ。まず、あたし達の提案を受けてくれたことに感謝するわ。他に望みはある?だいたいのことは叶えられるわよ?」


「…今は大丈夫です」


「…そう?」


私の意味深なその答えに三島莉緒那の返答はほんの一瞬だけ遅れた。


そう。

私達は友達でもなんでもない。

ただ利害関係が一致しているだけなのだ。


今は…


私のその一言の意味は必要があれば、更なる要求を突きつけるという意思表示である。


だがやはりと言うべきか。

三島莉緒那にはお見通しだったようだ。


「いいわ。今はね?あたし達の関係はそれぐらいの方がいいと思うわ。でもね?協力するに当たってあなたにも仕事をしてもらわなければならないわ。さすがに無償であなたの要望だけを叶えるってのは対等な関係とは言えない…もちろんそれは理解してくれるわよね?」


私は三島莉緒那のその問いにコクリと頷く。


倫理観は完全に終わっているが、三島莉緒那は話の通じるタイプの悪人なことは、短い付き合いでもわかった。

それに三島莉緒那の言っていることはもっともだ。


それに対して三島莉緒那は微笑む。


「素直ね?あ、バカにしてるわけじゃないわよ?」


三島莉緒那はそこで一度言葉を切ると真剣な表情になる。


おそらく…私の予想…いや、ホープも同意見だからほぼ確実に次の言葉は決まりだ。


三島莉緒那は再び口を開く。


「マリアの始末。あなたにはそれを頼みたいわ」


三島莉緒那は言ったのだった。

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