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第67話決断


「私は………あなたの提案を受けます」


考えた末に私はそう口にした。


「懸命な判断で嬉しいわ」


三島莉緒那は優しく微笑んだ。


私はその笑みのあまりの美しさに、一瞬ドキッとしたが、騙されてはいけないと思い直す。


そう。

この人は中身は完全に悪魔なのだ。


「ねえ?聞いてもいい?どうしてあたしの提案を受ける気になったの?あたしの衰えた洞察力でもあなたがあたし達のことをよく思ってない…むしろ嫌っているのはあからさまにわかったわ。正直、ダメ元で聞いたつもりだったわ」


私が三島莉緒那の提案を飲んだ理由…

そんなもの決まっている…


「…あなたの提案を飲めば私の望むものをくれるって言ったことに間違いはありませんよね?」


「ええ、二言はないわ。世界の覇権をよこせって言われたらさすがに無理だけど、あなたが…ホープが味方についてくれるならあたしの力が及ぶ範囲なら、なんだって叶えてあげるわ。とりあえず手始めに何か欲しいものでもあるのかしら?」


言いながら三島莉緒那はスマートフォンを取り出す。

お金でも運ばせるつもりなのだろうか?

私が欲しいものはそんなものじゃない。


「…私の家族や友達…どんなことがあっても守り抜くって約束してください」


私の言葉に三島莉緒那は少しだけ目を見開く…


「へぇ…若いのに今どき珍しいわね…いや、むしろ若いからこそって言った方がいいのかしら?いいわ…超一流のボディガードを望むだけ派遣…」


「待て!!」


三島莉緒那の言葉はその鋭く低い声で遮られる…

そんな言葉を発したのは今まで舌打ちこそすれど、黙っていた三島煌一だった。


三島煌一は笑い出す。


「くくっ、くくくっ、いいじゃねーか?生意気でいけすかねーガキだと思っていたが、なかなかいいこと言うじゃねーか?気に入ったぜ?」


「煌一、今はあたしが…」


「あ?うるせーよ莉緒那っ!?てめえもそのガキを少し見習えやっ!?」


言いかけた三島莉緒那は三島煌一の恫喝で強制的に黙らせられる。


「たしか美月だったか?ウチの組員を好きに使っていいぜ?それで家族でも友達でも守るといい…。さすがにヒラじゃ誰も従わねーか………俺の兄妹盃と八代目北川組本部の特別相談役の座布団をくれてやるよ?」


「あ…はい…」


あまりにめちゃくちゃなその状況に、私はそんな返事しか出来なかった。


そんな中、三島煌一はすでにスマホを取り出してどこかに電話をかけている。


「龍二、今すぐ直参から枝まで全部のウチの組に書状を出せ。特別相談役に………てめえ姓は?………谷村美月って女を据えるってよ?………あ?俺の兄妹盃をやったよ?………ちげーわ。舎弟じゃねー。兄妹だ!!………俺の女?あ?ちげーよ。中坊のガキなんか願い下げだ。………あ?正気に決まってんだろ?俺が決めたんだよ?文句言うヤツなんかいるわけねーだろ?………おう。任せたぞ?じゃーな?」


三島煌一はとんでもない剣幕で誰だか知らない電話の捲し立てると一方的に電話を切った。


電話の相手はヤクザの幹部だろうか?


『本郷龍二、三島煌一の一番上の舎弟で現、八代目北川組の組長だよ?電話の内容を簡単に説明すると、美月ちゃんがヤクザの最高幹部になったってことだね』


は?


脳内ぬ聞こえるホープのその言葉に私の思考は完全に停止した。

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― 新着の感想 ―
[一言] 普通の女子中学生がヤクザの最高幹部!とか思ったけど、よく考えたら普通の女子中学生は世界屈指のヤバイ相手に交渉紛いのことさえできないことに気づいた。 普通の女子中学生は、「常識を超えた化け物…
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