第63話三島煌一5
「くくくっ、おもしれーなー?こりゃ莉緒那じゃ勝負になんねーわな?」
三島煌一は笑いながら言った。
白いドローンによる銃撃は一時的に止んでいる…
今の一撃で仕留めきれなかった…
白いドローンのマシンガンは三島煌一の動きを縛るという目的があるが、弾は無限ではない。
美月に内緒で用意していた援軍ドローンが次々と部屋に侵入しているとはいえ、こちらも無限ではない。
無駄撃ちはしない。
ホープの判断としては当然のことだった。
「…褒め言葉として受け取っておくよ」
そんな三島煌一に対し、九官鳥のホープは答えた。
その間もドローンは警戒しながら飛び回る…
「鳥?いや…てめえがホープか。見事だぜ?最初はぶっ壊そうと思っていたが、まさかここまでやるとはな?なあ、そんな主人やめて俺と来いよ?世界の覇権ってヤツを見せてやるよ?」
目には殺気を…口元には笑みを…
それぞれ浮かべる三島煌一は言った。
「悪いけどお断りだよ。私は美月ちゃんが好きでいっしょにいるんだから。世界の覇権?そんなものお前なんかと組まなくても私が本気を出せば一人で実現可能だよ」
「ホープっ!?」
明らかに三島煌一を挑発しているその発言に私は叫んだ。
こいつは今までの相手とは違う…
怒らせるのはマズイ…
だが、三島煌一はホープのその発言に怒るどころか笑い出した。
「くくくっ、くはははっ!!…マジでてめえおもしれーな?交渉決裂か?俺と本気で殺り合って勝てるとでも思ってるのか?……ナメてんなら、まず主人のガキからぶっ殺すぜ?」
「ひっ!?」
その瞬間放たれた殺気は今までのそれとは比べものにならない…
私は膝から崩れ落ちた。
立とうとしても立てない…
完全に膝が笑って言うことを聞かない…
『美月ちゃん、大丈夫だから…私に任せて?』
頭の中にはホープの私を励ます声が聞こえる。
九官鳥ホープは口を開く…
「やりたきゃやれば?たしかにお前はまだまだ本気じゃないだろうね?お前の妹が言っていたよ。お前を人間だと思わない方がいいってさ?本当その通りだね。たしかにお前が本気を出したら私は美月ちゃんを守り切るのはたぶん無理だ。でも…お前がもし美月ちゃんにそんなことをするなら…」
ホープはそこで一度言葉を切る…
そして…
「…内蔵している核爆弾でお前もろとも吹き飛ばしてやるよ。その覚悟があるならやりなよ?」
ホープは言ったのだった。




